社畜よ、武器を持て【未払い残業代請求裁判ブログ】

未払い残業代請求と解雇無効確認の裁判中の元社畜によるリアルタイム奮闘記! 今まさにブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブルにも!

これまでの経緯20 弁護士は値切れるのか

前回のつづき


解雇されて数日後。以前相談した弁護士事務所へ。



また来ることになるなんて( ̄▽ ̄;)


ブラック企業相手に話し合いで解決しようなんて考えがそもそも甘かったか。


しかし、どう考えても裁判になればこちらにかなり分があるだろう。証拠もかなり自分達で集めた。いろいろと録音もある。
いっそ弁護士は頼まずに本人訴訟もという考えも。問題は費用だ。
労働審判なら安いけど、労働審判をしても今回は解決しずに結局訴訟になることが明白なため最初から訴訟にする方針。


以前の相談の時に聞いていた訴訟の場合の弁護士報酬は、着手金無し成功報酬として取れた金額の4分の1。いろいろ調べたけど、大体18%~25%ぐらいが相場みたいです。
(その他に、事務手数料が3万~5万と実費、裁判期日5回を超えると1期日につき+数万円、裁判所へのタクシー代などの経費)



裁判費用は勝てば相手に払わせられることが多いんだけど、これはあくまでも訴状提出時の印紙代とかで、弁護士報酬は勝っても負けても自己負担なのだ。これは勘違いしている人が多いと思う。
(不法行為による損害賠償請求などで弁護士報酬も認められる場合は稀にはあるようだ)



なんとかうまいこと言ってまけてもらおう!



3人で弁護士に会い、以前相談してからこれまでのことを説明。


弁護士:え!?解雇されたんですか?それは大変でしたね。過去の判例を見ても解雇はなかなか認められるものではないのでほぼほぼ無効になるとは思いますが。
無効になった場合には、解雇されてからもずっと従業員として地位があったことになるので、その間の給料分を貰うことができます。これをバックペイと言うんですが、アルバイトでも何でも次の仕事をしたり探したりしたりした時点で復職の意思が無いことになるのでその場合はそこからはバックペイが無くなります。
そのあたりその生活とかは大丈夫ですか?



俺:まあ、覚悟はしてます。多くは無いですが貯金と雇用保険の失業給付でなんとか。


磯野:僕もです。けどなるべく解雇の件は早く解決したいです。


松田:実は僕だけ解雇されてないんですよ。


俺:えー!?
磯野:えー!?

松田:次が決まってるなら君は解雇はやめておいてやると言われて。あれから帰って妻に話したら俺さんと磯野さんに申し訳ないから、今からでも解雇されてこいって怒られましたけど。


俺:いや、それはそれでよかったじゃないですかw


磯野:うんw



弁護士:とりあえず、未払いの残業代について時効が進んでいきますのでまずは急いで次の給料の支払い期日までに内容証明郵便で請求をした方が良いのですが、依頼されますか?


俺:先生、それなんですけど、証拠もかなり自分達で集めてきましたし、この手の裁判は本人訴訟でも結果はあまり変わらないと聞きますし、自分達で出来ることはなるべくやるので成功報酬のパーセンテージまけてもらったり出来ないものですか?


弁護士:それは出来ないですね。当事務所ではしたこと無いです。


かなり即答。オワタ\(^o^)/


弁護士:ただ、未払いと解雇で2件分なので、本来別々の依頼と報酬になるところ、その2件分の事務手数料を1件分にするのと、少し工夫出来ないか上に掛け合ってみます。お待ち下さい。



磯野:僕はあまり法律とか分からないし、依頼しようと思う。


松田さん:僕もそのつもりです。


俺:そうするか。



弁護士:先程の件大丈夫でした。未払い残業代と解雇の件、取れた金額の4分の1。事務手数料は1件分で。
よろしいですか。ありがとうございます。では契約書作ります。



契約書に署名捺印。


弁護士:では早速内容証明作成し、文章メールしますので、確認して下さい。OKであれば送付しますので。


俺:よろしくお願いします。
磯野:お願いします。
松田さん:お願いします。


納得した上で署名したので、後悔は無かった。

気を悪くされる事務所もあるかもしれないが言うだけ言ってみた方がいいと思います。弁護士もプロなのでそれでムカつく客だからとか報酬が減ったからと仕事に差をつけることはないと思います。

もしかしたらまけてくれる事務所があるかもしれませんよ( •̀ᴗ•́ )



つづく。



次回   雇用保険と健康保険について









これまで経緯19 立つ鳥は何も残さない

前回のつづき


解雇されて数日後。以前相談した弁護士事務所へ。



また来ることになるなんて( ̄▽ ̄;)


ブラック企業相手に話し合いで解決しようなんて考えがそもそも甘かったか。


しかし、どう考えても裁判になればこちらにかなり分があるだろう。証拠もかなり自分達で集めた。いろいろと録音もある。
いっそ弁護士は頼まずに本人訴訟もという考えも。問題は費用だ。
労働審判なら安いけど、労働審判をしても今回は解決しずに結局訴訟になることが明白なため最初から訴訟にする方針。


以前の相談の時に聞いていた訴訟の場合の弁護士報酬は、着手金無し成功報酬として取れた金額の4分の1。いろいろ調べたけど、大体18%~25%ぐらいが相場みたいです。
(その他に、事務手数料が3万~5万と実費、裁判期日5回を超えると1期日につき+数万円、裁判所へのタクシー代などの経費)



裁判費用は勝てば相手に払わせられることが多いんだけど、これはあくまでも訴状提出時の印紙代とかで、弁護士報酬は勝っても負けても自己負担なのだ。これは勘違いしている人が多いと思う。
(不法行為による損害賠償請求などで弁護士報酬も認められる場合は稀にはあるようだ)



なんとかうまいこと言ってまけてもらおう!



3人で弁護士に会い、以前相談してからこれまでのことを説明。


弁護士:え!?解雇されたんですか?それは大変でしたね。過去の判例を見ても解雇はなかなか認められるものではないのでほぼほぼ無効になるとは思いますが。
無効になった場合には、解雇されてからもずっと従業員として地位があったことになるので、その間の給料分を貰うことができます。これをバックペイと言うんですが、アルバイトでも何でも次の仕事をしたり探したりしたりした時点で復職の意思が無いことになるのでその場合はそこからはバックペイが無くなります。
そのあたりその生活とかは大丈夫ですか?



俺:まあ、覚悟はしてます。多くは無いですが貯金と雇用保険の失業給付でなんとか。


磯野:僕もです。けどなるべく解雇の件は早く解決したいです。


松田:実は僕だけ解雇されてないんですよ。


俺:えー!?
磯野:えー!?

松田:次が決まってるなら君は解雇はやめておいてやると言われて。あれから帰って妻に話したら俺さんと磯野さんに申し訳ないから、今からでも解雇されてこいって怒られましたけど。


俺:いや、それはそれでよかったじゃないですかw


磯野:うんw



弁護士:とりあえず、未払いの残業代について時効が進んでいきますのでまずは急いで次の給料の支払い期日までに内容証明郵便で請求をした方が良いのですが、依頼されますか?


俺:先生、それなんですけど、証拠もかなり自分達で集めてきましたし、この手の裁判は本人訴訟でも結果はあまり変わらないと聞きますし、自分達で出来ることはなるべくやるので成功報酬のパーセンテージまけてもらったり出来ないものですか?


弁護士:それは出来ないですね。当事務所ではしたこと無いです。


かなり即答。オワタ\(^o^)/


弁護士:ただ、未払いと解雇で2件分なので、本来別々の依頼と報酬になるところ、その2件分の事務手数料を1件分にするのと、少し工夫出来ないか上に掛け合ってみます。お待ち下さい。



磯野:僕はあまり法律とか分からないし、依頼しようと思う。


松田さん:僕もそのつもりです。


俺:そうするか。



弁護士:先程の件大丈夫でした。未払い残業代と解雇の件、取れた金額の4分の1。事務手数料は1件分で。
よろしいですか。ありがとうございます。では契約書作ります。



契約書に署名捺印。


弁護士:では早速内容証明作成し、文章メールしますので、確認して下さい。OKであれば送付しますので。


俺:よろしくお願いします。
磯野:お願いします。
松田さん:お願いします。


納得した上で署名したので、後悔は無かった。

気を悪くされる事務所もあるかもしれないが言うだけ言ってみた方がいいと思います。弁護士もプロなのでそれでムカつく客だからとか報酬が減ったからと仕事に差をつけることはないと思います。

もしかしたらまけてくれる事務所があるかもしれませんよ( •̀ᴗ•́ )



つづく。



次回   雇用保険と健康保険について
























これまでの経緯18 退職願

前回のつづき



面談を終えた俺達は、その日の業務を淡々とこなし、定時きっかしにタイムカードを押した。


そして、面談の内容、部長の鬼のような形相からもうこのまま会社で働くのはなかなか難しいであろうことをどことなく悟った。


もしかしたら解雇されるのではという予感。
もし解雇されれば、次の就職に差し支えるかもしれない。いろいろ予想もしない面倒が降りかかるかもしれない。


そこで、俺達は退職願を出すことにしたのだった。



退職願

平成26年〇月△日

〇〇株式会社
代表取締役   〇〇〇〇殿
 
所属        営業部
氏名    〇〇〇〇      

この度、下記のとおり退職致したくよろしくお願い申し上げます。


退職希望日    平成       月       日予定

有給、代休の消化後


退職の理由

一身上の都合


貸与支給品その他は、退職日迄に返却致します。

以上


俺と磯野は次の就職先を特段準備していなかったから日付は空欄にした。有給、代休がたっぷりあるはずなので、その間になんとかすればよいと考えていた。退職理由については正直に書くより、一身上の都合と書くのが大人の対応と考えた。

松田さんはもう次の職場の内定を得ていたので、退職日は次の入社日の前日にしていた。



そうして、書き終えた俺達はお互いに目配せし、一斉に部長の席へ。


俺:後藤部長。退職願です。お願いします。

磯野:僕もです。

松田:私もお願いします。



部長はそれを手に取り、大きな溜息を一つした後
一言。

部長:とりあえず預かる。協議して結論は後日。
明日は土曜日なのでいつも通り直接、モデルハウスに出勤して仕事をするように。




この日が解雇を通告される前日となった




つづく。








これまでの経緯17 成果が先か、残業代が先か

前回のつづき



社長:ではどうしたらいい?君達の言う解決方法は?


松田:新しい労働条件に定額残業制度を採り入れたいというのであれば、今まで給与にプラスして、上乗せしてっていうのが妥当なやり方だと思います。


社長:それだといくらになるんだ?大体概算で。


山下課長:60時間分だと、今の給料からプラス10万は超えるんじゃないかと。


社長:今までの給料にプラス10万はしないと話にならないわけだ。これは運営できないよ会社として。話にならんな。


松田:では、固定残業は無くして、残業も無くすというのが一番の解決策じゃないでしょうか。


社長:じゃあ、それでいいんじゃない。


松田:それでも、やむを得ず残業した分には当然、割増賃金が発生します。


後藤部長:じゃあ定時ジャストで上がってそれで成果も出すってことだな?


社長:残業代を払うことになれば中身の濃い仕事をしてもらわないといけない。残業代は払って成果上がらないんじゃ会社潰れちゃうからね。


後藤部長:ではそれで3ヵ月やりました。受注が上がりませんって場合はこれどうしましょう?


社長:それは大変なことだよ。営業やめて工事監督にでもなるか?
賞与の規定もちょっと変えないといけないな。


松田:もうそれならそれでいいと思いますよ。これで残業代が発生するっていう確認はしました、今後についても確認しました。
そして、我々としてはこれまでの話っていうのをしていきたいと思います。



社長:えっ?なに?


松田:これまで残業代が発生する働き方をずっとしてきましたので、今までの残業代がどうなるのかっていう話をしっかりさせて頂かなくてはいけない。


社長:ほーう。俺はその意味全然分からんな。お前さんが営業ですから残業当り前ですわって残業したりする。で、残業代の話もそこでしないといけないんじゃないの本来は。もちろん残業代つくでしょうねえっていう話を。普通であれば。


松田:その普通っていうのをどこに置くのかによりますけど。残業がありますよ、残業したら残業代が付きますよっていうのはどの形態に関してもついてまわる話ですから。


社長:そうなんだけど、うーん。


松田:今の社長の言い分は、仕事しました、でも給料払うかどうか聞いてない、払わないって言っているようなもので。


社長:入社以来一度も聞いてきていないよね。残業代どうなってますかって。



松田:先ほどの話に戻しますと、定時以降は残業代が発生するので改善しないとっていう話だったと思います。今までとそこの労働の形態に関しては変わっていないので、今までも残業代が発生してたと考えるのが通常ですよね。


社長:そういうことだな。


松田:でも払うつもりがないと?


社長:ほとんど考えていない。皆さんが請求してこれば、私としてはビックリだ。頭の痛い話。
それはやっぱり裁判とかになるよなぁ、私は出すつもりはないって話だから。


松田:発生はしているけど、出すつもりは無いとおっしゃるんですね?


社長:無いね。気持ちとしても。残業は皆さんがしているのは知ってるけど、残業代がつくから残業をしているという認識がないから。
知性のある人間が、何年も働いてから社長残業代はどうなってるんですかと今頃言ってくるのはおかしな話だよ。


俺:固定残業にしたいという話が会社から出てきて、今までの雇用形態というものを見直してみたら残業代が発生していたことに気が付いた。そういうことです。


松田:過去として発生してるものに関しては、労基署であったり裁判っていうところでないと話はしてもらえないってことですね?


社長:そういうことになるよ。


後藤部長:じゃあどうするの?


俺:会社がもう話し合うことがないというなら、我々としてももう話し合うことがないかと。もうあとはもう然るべきところで。


社長:そういう間柄で働いてるのもおかしなことになるね。利害が対立してるので。
俺は今までの分は勘弁してくれと思ってるけど、生産性とか別にして時間で払えっていうんだから困ってしまうね。


俺:同じ給料でいつまでも働かせられるってことであれば、多く働けばどんどんその中の金額っていうのはどんどん薄まっていってしまうという話です。同じ金額で働いてるのであれば。

では、お客様とのアポがあるのでこれで失礼します。
あ、それとですね。私に書かせた36協定については選出の方法に問題があり無効ですので、労基署に行って即刻取り下げてください。会社が行かないのであれば私が行きます。
では。



-話し合い終了-



つづく


次回    退職願を一斉提出
















これまでの経緯16 労働と賃金の関係

前回の続きから



後藤部長:今皆が不利益になるんじゃないかと思っている点を確認していけばいいんじゃないですか。みんな残業はしなきゃいけない、残業代が出ないのは分かっている。それが営業だ。そこは共通認識でしょ?



俺:共通認識では無いですね。



松田:それはいつ共通認識になったんですか?例えばいつ説明されたんですか?


後藤部長:そんなの最初っからじゃない。
最初の面接の時から。


俺:面接の時にはうかがってないです。


松田:少なくとも面接の時にそんな話は無かったですね。


俺:もしそれがあったというなら証明していただきたい。(`・ω・´)キリッ



社長:いいんだいいんだ、理屈言うな。してないって。皆さんが無いっていうなら仕方ないって。俺はそのつもりでいた。業界の常識、当たり前のことだから。営業に残業代出している会社なんて無いから、それを前提に話するがな。これは常識
基本的にこの業界で働いている以上はね。



俺:では皆さんは、労働と賃金についてどう考えてるんでしょうか?後藤部長、山下課長も含めて教えていただきたい。



社長:私は皆さんが自分のチャンスを生かして勝ちとるものだと思うよ。



俺:そういう漠然としたことじゃないんですけども、社長個人のお考えは分かりました。山下課長はどうですか?



山下課長:働き方にもいろいろとあると思うんですけども、製造業なんかですと時間管理をされてラインに立ってというのが、時間が賃金に換えられるそれが労働の対価だと思っていますが、まあ私がこの会社に入って感じたのは、まあ成果主義だっていう位置づけです。



社長:当然当然。



山下課長:と言っても生活がありますので、最低限の賃金は支払われていると思います。



俺:では、後藤部長は?



後藤部長:私は難しくは言えないけども、賃金ていうのは自分以外が決めるものだと思っている。それを稼ぎたいそれを上げたいっていうんだっ

たらやっぱり成果を出す。結果を出してその上でまわりが判断する。それに納得できなければ辞める。それだけのものだと思っている。そんな難しく考えていない。まあ自分が決められないし。まわりが決める。それに納得できなければ辞める。それだけのものだな。



松田:いや、違うんですよ、今概念の話ではなくて労働と賃金の関係なので皆さんの話はちょっと違いますよね。

労働と賃金の考え方ですけども、当然雇用契約ですので雇用契約の範囲内で当然労働者は労働提供をして、使用者はその対価として賃金を支払うということですよね。

その労働条件っていうのが、先ほど出た労働条件通知書に書かれている範囲であったり、就業規則の範囲ってことになります。

当社であれば定時9時から18時、これあの1時間休憩を含むっていうことですね。でその間に対していくらの給料を支払うっていうような雇用形態だと認識してます。ここには固定残業っていう話は無いです。

定時を超過するようなものに対しての説明っていうのは一切無かった。


俺:ということは、それを超えた分どうなるかっていうところが先ほどの労働とその対価っていう話に繋がります。その超えた部分ていうのは残業ってことになるのが一般的だと思います。



社長:いやいや、私の考え方はね、時間関係無しにやるんだよと、営業は成果主義だからね。営業が残業代ちょうだいだなんて聞いたこともない。


松田:個別の話や業界の話であったり、自分はこうだっていう話じゃないんですよ。
雇用条件に対しておかしいですよねって法律の話をしてるんで。
この業界とか営業職についてはそれを除くって文言が無い限りは、やはりこの業界はとか、営業はっていうこと言い出したら多分皆言うと思いますよ。
業界とか、営業職はって話は何か営業会議をしているんであればそれでもいいと思うんですけども、そもそもそこに話が集約しないので、意味が無いと思いますよ。




つづく


次回   ついに核心、残業代を請求!














これまでの経緯15 反撃開始!6者面談





久々の更新です。


固定残業制度への不利益変更を含む新しい雇用契約書への署名を拒み続けた俺達はついに3人揃って呼び出された。

月曜日、全体朝礼があるので予期していた。3人で想定問答を繰り返し、打ち合わせは完璧だ。
松田さんがメインで話をして、俺が援護射撃、磯野はこういった交渉は不得手なのでなるべく話さないようにすることとした。

スマホの録音アプリをセットし、さあ、満を辞して応接室へ。



俺:失礼します。
磯野:失礼します。
松田:失礼します。


応接室では、社長、営業部長の後藤、総務課長の山下が陣取っていた。




社長:ま、座れ座れ座れ。



俺:ここでいいですか?はい、では失礼します。



山下:それでは、よろしいですか?




社長:えっと、まず何からだ。




山下:まずは雇用契約のことですね。





松田:そうですね。まず労基署からの指導で雇用契約書が必要ということで言われていますが、雇用契約自体は契約書が無くても申し込みと承諾の意思表示で成立する諾成契約です。ゆえに、これは労基署にも確認しましたが、労基署が雇用契約書を締結しなさいという指導は原則しないですし、法律に基づかない勧告はしないそうです。
なぜ今回会社が雇用契約書を執拗に求められるのかまず理由が聞きたいです。
これは何の違反だと言われたのですか。



山下:労基法15条違反です。



松田:労基法15条違反は労働条件通知書のことですよね。雇用時に労働者に雇用条件を書面で通知しなければならないという。



山下:そうですね。




松田:それはあくまで通知なので、雇用契約書は関係無いんじゃないですか。




社長:ちょっと待って、雇用通知書?どういうこと?




松田:あの、労働条件通知書というものを書面で出すことが義務付けられてますという話です。




社長:それは私がかね。



松田:そうです。



社長:皆に。



山下:そうですね、会社から。




社長:いつ?それは?




松田:雇用契約時にです。雇う時に。




社長:はぁーっ。やってないもんなそれは。




松田:ま、それはやってなくてもこの場では良いです。まあ後から出す分には本当は罰則とかあるのですが、ただ知らなかったとかいろいろ事情もあると思いますので。




社長:これは、私も知らなかったのでこれはこれで次にいこうか。それで?




松田:それで、雇用時から現在までの条件と、新雇用契約書の条件、内容は同じなんですか。




社長:違うよな。




松田:違うのであれば、まずは従前の労働条件通知書を出して頂いたうえで、新しい労働条件を提示して頂いて、変更点を利益不利益を説明したうえで同意を得るのが正しい手順じゃないでしょうか。




社長:うーん、それはそうだなぁ。



山下:本当は一方的な明示でよかったのですが、労基署の方から、こういうひな形があるのでやってくださいと言われたのが雇用契約書だったということです。



松田:それならそれでも良いと思うんですよ。ただ問題なのは、従前の契約と新しく出されたものが違うということだと思います。



山下:うん、まあ固定残業の部分はたしかに違いますね。



松田:それだけですか?



山下:あとそれに伴って手当の内訳も多少変えてます。



社長:よし、建設的にやろう。どうしたらいい?



山下:まず労働基準法15条1項の労働条件通知書を出してくださいということのようです。



社長:私がやってなかったから、作らなきゃいけないと。まずはそれをするということだね?



山下:雇用契約書がそもそも無かったため、雇用契約書を作ることで条件通知書も兼ねようとそういう動きだったのですが。その辺は私も認識が甘く、監督官からこのひな形でと言われて、そういうものだと思ってお願いした次第なんです。




俺:では内容が違うのは何故ですか?



山下:ですから、今まで、雇用時に皆さんが社長と約束された内容がありますよね。



俺:その内容っていうのは何ですか?




山下:それは私は十分に把握してないんですけど、残業?残業代?が無いとかいう



俺:残業はあるってことは聞いてました。残業代が無いという話は聞いていません。



社長:残業はあるんだよ、もちろん。私の頭の中と皆さんの頭の中が違っていて、残業はあるけど残業代は付けないと言ったつもりだ。これは皆さんとの合意事項の認識だった。皆さんは営業に残業代があると思ってたの?それで実際残業代出ていないのに何年もそれで働いてたの?



俺:残業代が出ないっていうのは法的に認められるんですか?



山下:それで今回、固定残業制度という。



松田:固定残業は新しく採り入れたいという話ですよね?今話してるのは従前の雇用契約の話です。



俺:我々が今申し上げていることは新しい労働条件を提示されるのはいいですが、不利益が生じてはいけないという話です。



後藤部長:今皆が不利益になるんじゃないかと思っている点を確認していけばいいんじゃないですか。みんな残業はしなきゃいけない、残業代が出ないのは分かっている。それが営業だ。そこは共通認識でしょ?



俺:共通認識では無いですね。



松田:それはいつ共通認識になったんですか?例えばいつ説明されたんですか?



後藤部長:そんなの最初っからじゃない。



後藤部長が口を開き、さらに議論はヒートアップ
。1時間を越える話し合いにつき、何部かに分けて書いていきます。



つづく

















これまでの経緯14 潜入、捜索、証拠集め

弁護士事務所をあとにすると、すっかり暗くなっていた。

松田さんは都合で家に帰らなくてはいけないということでここで別れる。

磯野はお腹が空いたため2人でご飯を食べにいくことにした。


先ほどの弁護士への相談の最中、衝撃の事実が判明。


労働時間の最重要証拠となるであろう俺と磯野のタイムカードの写真データを松田さんが消去してしまっていた。


磯野とご飯を食べながら、事は急を要するとの意見で一致し、夜が深まるのを待って誰もいない会社に潜入し捜索することに。


23時、会社に到着。

電気がついている。

まだ誰かいるみたいだね。

これだからブラック企業は┐(´д`)┌ヤレヤレ


しばらく付近に身を潜め様子を見ることに。
30分ぐらい待っていると電気が消え、人が出ていく。施工管理部門の課長だ。

車に乗り出ていくのを確認。

いざ!


ナンバーロックを解除。


社内へ。


電気は必要最小限だけ点ける。


何故自分の勤めている会社なのにこんなにコソコソするのか?

それはこの日、俺と磯野は休みでありこんな時間に会社にいるのはおかしいのだ。

しかも当然スーツでは無く私服。もうこれは仕事がたまっててとか言い訳が一切きかない。

23時30分とはいえ、まだ現場から会社に戻っていない社員がもしかしたらいるかもしれない。

さっきの課長はお腹が空いたので夜食を食べに行っただけで、また仕事をするために戻ってくるかもしれない。

哀しいかなブラック企業とはそういうものなのだ。


それに仕事とは限らず、誰かが忘れ物を取りに来たり、仕事終わりに近くで1杯飲んでいた社員が帰りがてらトイレを使用しにくるかもしれない。 


しかし今日決行しなければ。


会社に時間を与えれば証拠を隠されてしまうかもしれない。俺達がこの会社にいられる時間ももう僅かかもしれない。もう機会は訪れないかもしれない。


松田さんから聞いておいた場所に向かう。
総務課長の席の後ろのキャビネットの引き出し。
(何故この場所を松田さんが知っているか。それはタイムレコーダーにある全員の一月のタイムカードを〆日に回収し総務部で給与計算をしているが、そのタイムカードの行き場を毎月注意深く監視していたのだ。)



ガコッ。


聞いていた通りだ。鍵がかかっている。


しかしこれは折込済みだ。


鍵の場所は、隣の小さいキャビネットの引き出しの上から2段目。


鍵を取り、鍵穴に差し解錠。
引き出しを開ける。

ここにダンボール箱に入った全員分の入社時からのタイムカードがあるはずだ、、、。


ない!
俺さん、無いよ!


マジか。磯野、これはもう無いかもしれないな。


やばくない?


とにかく周りを探そう。


見渡すといくつかダンボールが置いてある。
手当たり次第開けていく。
しかしどれも違う。


もう棚からなにまで手当たり次第に探す。


あっ!あれは?


あると思って開けたキャビネットの上、背伸びして手がやっと届く位置にダンボール箱が乗っている。


慎重に箱を取り、フタの部分を開ける。
28年、27年と書かれた大きな分厚い封筒が2つずつ計4つ。

中を見る。

あった!
これだ!


灯台下暗し。いや、灯台上暗しだ。

中には各人ごとに輪ゴムで分けられたタイムカードの束がごっそり。


もうどれぐらい時間が経ってしまったであろうか。とにかく急がなければ。


複合機でコピーを取ったら何かしらデータが残ってしまうかもしれない。


デスクにタイムカードを並べて、スマホで1ヶ月ごとパシャリ、パシャリ撮っていく。


手が震える。ぶれる。焦りもありなかなかうまく取れない。自分にこんなにも度胸がないとは。

年下の磯野はどうだ、サクサクと撮りすすめているじゃないか。
悟られないように俺も深呼吸しながら撮っていく。しかし、俺が半分撮り終わったところで、


俺さん!自分の分は全部終わったよ!


早い∑( ̄Д ̄;)


そしたらあれだ!上司の分も撮って!部長のタイムカードも撮っておけば少なくとも部長が一緒にいた時間は管理されてた証明になるかもしれないから!


そうだね!撮っておこう!



こうして、過去2年分のタイムカードを無事撮り終え、全てを元通りにして退散したのだった。



次回

いよいよ、

会社との正面切っての話し合いへ。