【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第9話 労働基準監督署の壁

こんばんは、元社畜です。


今日は労働基準監督署のお話です。

労働基準監督署はいわば労働問題における警察署みたいなところです。



労働基準監督署は今もいろいろとお世話になっていますが、最初の対応には行政の壁というものを痛感しました。





では、前回の続き。


労基署に相談へ

過去分の給料明細を各々準備し約束の時間に労働基準監督署の前で3人で待ち合わせ。集まったところでいざ!

労基署:どうされました?


松田さん:電話でお願いした松田です。


労基署:そこにお掛け下さい。労働者の方でよろしいですか?どちらの会社さん?


松田さん:そうです。〇〇ハウス株式会社です。


労基署:〇〇ハウスさんですか。前にも来られてる方がいますが違う人?それはご存知ですか?


松田さん:はい、知っています。


労基署:じゃあ、別件ってことでよろしいのかな?


松田さん:そうですね。


労基署:内容はどのようなことですか?


松田さん:残業を毎月しているのですが、残業代が未払いなのでそれを払うように指導していただきたいのですが。


労基署:ご自身では請求されましたか?


松田さん:いいえ。

俺:在職中なので、なかなか直に請求するっていうのはちょっと...難しい部分があって。


労基署:ああ、在職中なんですね。退職される意思はありますか?


俺:まだちょっとすぐにはなんとも。最終的にはそうなるかもしれないとは思いますが、是正されるのであれば続ける選択肢もあるかと。

松田さん:これ、僕がそれぞれのタイムカードを入手して、それを元に残業時間と割増賃金を計算したものなんですけど。あと、これが皆さんの給料明細です。


労基署:ああ、はいはい、ちょっと見ますね。


松田さん:見ていただくと分かると思うんですが、それだけの残業をしているにも関わらず毎月毎月同じ給料が振り込まれているんですよ。


労基署:たしかに残業時間すごいですね(笑)
100時間超える月なんかもありますね。給料は毎月定額なんですね。これを見たらまあ確かに言わんとすることは分かります。


磯野:ですよね。なんとかならないんですか。

情報提供か申告か


労基署:では少し手続き上のお話をさせて下さい。


俺:はい。


労基署:まず労働基準監督署が受け付ける方法としては、情報提供と申告というものがあります。

情報提供というのは文字どおり、違反をしている会社の事実や裏付ける資料などを提供してもらう方法でこれは匿名ですることができます。原則会社にも誰が通報したのかは分からないようにできます。

ただし情報提供をいただいたからといって、労働基準監督署としては必ず調査に動くとは限りません。動かない可能性もあります。他の会社さんで優先すべき悪質な労働問題があればそちらを優先するので、動くとしてもいつになるか分かりません。匿名通報ですので出来ることも限られてしまいます。あなた方に絞って払うようにいうことも出来ないわけです。なおかつ通報者さんに経過や結果をお伝えすることも原則ありません。


次に、申告という方法です。これは住所氏名を明らかにしていただいた上でしていただく必要がありますがこれは基本的には調査に行くことになります。会社に誰が申告したか分からないようにやってほしいと言われればそのようにやりますが、名前を出すより効果は薄くなります。分からないようにやっても、会社側には誰が申告したかだいたい分かってしまうことが多いと思います。


松田さん:なるほど。うーん、なかなか悩ましいですね。

磯野:どちらか決めないといけないのか。

俺:名前を出すのはちょっとなぁ。
 

労基署:それとですね、会社側がいろいろと残業を否定してくることがあるので。例えばその時間は働いていなかったとか、残業を指示していないとか、事業場外みなし労働時間だとか。(事業場外みなしについてはまた別の機会に書きますので割愛。)

労働基準監督署としては確実にここは残業時間だということで認めさせられるという部分でしか、払うように指導出来ないので、実際の計算額よりぐっと少なくなる可能性が高いです。

ですので残業代の未払いについては、民事訴訟で請求していただく方がいいと思いますよ。

情報提供や申告したからといって、民事訴訟が出来なくなるわけではないのでしていただいても構いませんが。


3人で方向性を打ち合わせるも答えは出ない。

松田さん:ちょっと今日結論を出せそうにないので、相談してまた伺うようにします。ありがとうございました。

労働基準監督署、行政の壁に跳ね返されるのだった。


つづく。

長文になりました。お読みいただいた方ありがとうございます。

次回は質問書について書きます。



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