前回から引き続き、弁護士との会話です。
労働審判か訴訟か
俺:たしか労働審判の方が費用が安くて解決も早いんですよね?何故2人の件は初めから訴訟にしたんですか?
弁護士:確かに訴訟よりは費用は安く済みます。ただ解決のスピードについては労働審判をした方が早いとは限りません。
労働審判は,原則として3回以内で終結するので申立から2、3ヶ月、長くても半年ぐらいの期間なので、それ自体は迅速なのですがどちらか一方から異議がでれば、結局訴訟に移行することになります。
今回、事前段階で全く会社が取り合わない上、争う姿勢だったので、訴訟にした方が良いケースだと思います。
付加金で倍返し
弁護士:理由としてはもう一つ、労働審判だと付加金が認められないということもあります。
付加金というのは、労働基準法第114条で、未払いの割増賃金等を使用者が支払わなかった場合には労働者からの求めにより裁判所はその未払い賃金と同額まで付加金を支払いを命じることができるとされているのですが、労働審判だと付加金の請求自体はできますが、認められたケースがないので。
俺:訴訟にすれば未払い残業代が倍貰えるってことですか!?
弁護士:必ずではありません。あくまでも判決までいって、裁判官が認めてくれたらの話で。
民事訴訟の殆どは判決までいく前に和解で終わることが多いですし、付加金については過度に期待するものではないです。
ただ〇〇ハウスさんは結構悪質なので付加金が付く可能性はあるので、訴訟にして請求はしておいた方が良いです。
証拠集め
俺:なるほど。なるべくなら訴訟外で話し合いで解決したいですけど、決裂すれば訴訟でいくことになるわけですね。
一応、その時のために証拠集めをしておいた方が良さそうですね。まだ在職中なのでその間に出来るだけ集めておこうと思いますが何がいりますか?
弁護士:そうですね。まず、できれば2年分のタイムカードと日報。就業規則のコピー。
私が事前交渉でN社さんに請求しても出してくれないので、あるか分からないですが賃金規定や休日カレンダーのようなものがもしあるなら欲しいです。
会社と話をする際に録音するなら、いつ録音されたものか証明できるように、日付や天気を声で録音しておいた方がいいですよ。口頭での請求でも証明できれば時効の進行は中断しますので。
他にはあとで取捨選択すればいいので証拠になるかもしれないものはとりあえず全て集めるようにして下さい。
俺:わかりました。日報は上司にメールしてるので全部残っています。2年分となると膨大なデータ量ですが抜いてみます。
就業規則と賃金規定はいけると思います。
タイムカードは松田さんがこの間仮に我々3人の残業代計算してて、置いてある場所知っていて全部写メってくれてたのでもう既にあります。
ね、松田さん。
松田さん:俺さん。
ちょっと言いにくいんですけど、それなんですけど、、、自分の以外は画像データ消しちゃいました。ちょっとUSBの容量がパンパンで。
俺:え、、、!?
俺のタイムカードの写メないの??
松田さん:はい、、、。あと、その後に辞めた2人が内容証明で請求してきたり労基署が入ったりしてるので、前に置いてあったところにまだあるとは限りません。
なんてことだ\(^o^)/
とりあえず探すしかないね。極秘裏に。
弁護士報酬システム
俺:で、もし先生に頼むことになった場合には費用はいくらぐらいになるんですか?
弁護士:あ、はい。これが当事務所の報酬規定です。
いろいろ選択できるようになっているんですが、労働事件の場合皆さん着手金無しの成功報酬方を選ばれますね。支払いの総額にそんなに違いはないです。
最初に事務手数料で3万5千円だけ頂ければ終わるまで請求無しです。会社に送る内容証明等の通知書とかの事務などもそれで。
裁判費用すなわち裁判所に支払う訴訟の印紙代なんかは相手方に請求するので、事務手数料の中からとりあえず立て替えます。裁判で認められれば印紙代はかかりません。
俺:弁護士費用は払わせられないんですか?
弁護士:それはごく限られた裁判の場合にしか出来ません。このような労働裁判ではご自身で払っていただくことになります。
俺:成功報酬金はいくらぐらいになるんですか?
弁護士:取得できた経済的利益の25%になります。
今回は金額が大きいのであまり関係が無いですが、最低報酬金が40万円になりますので取れた金額が少なくても40万円は原則いただくことになります。
俺:4分の1は支払わないといけないと。
弁護士:例えば400万円取れても手元に残るのは差し引き300万円になるんですね。
弁護士:あと、裁判期日5回までは無料ですが、超過すると一期日ごとに3万円頂いてます。
俺:裁判が長引くとさらに支払いが増えるんですね。だいたい何回ぐらいかかるものなんですか?
弁護士:そうですね。会社が徹底的に争う姿勢であれば10期日ぐらいになることもあります。10期日だと超過が5期日でプラス15万円になります。
俺:諸々結構費用かかりますね…。
弁護士費用分までは金額的に譲歩してでもなるべく訴訟外で解決できるようにとりあえず頑張ってみます。
今日はありがとうございました。
弁護士:早く請求しないと2年前からどんどん時効で消滅するので請求するなら早い方がいいですよ。
あと、先程お話した付加金についてはただの請求だけでは時効が止まらなくて、訴訟を提起してはじめて時効の進行がストップします。
未払い残業代ついては2年分でも、付加金の倍額の対象になるのは1年10ヵ月分とかになることもあるので。
俺:そうなんですか。とにかく話し合いでダメだったらすぐ訴訟ですね。
弁護士:では、またお待ちしてます。
俺:また来ないように頑張りますw
次回
潜入、タイムカードを見つけ出せ。