【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第15 話 反撃開始!6者面談

固定残業制度への不利益変更を含む新しい雇用契約書への署名を拒み続けた俺達はついに3人揃って呼び出された。

月曜日、全体朝礼があるので予期していた。3人で想定問答を繰り返し、打ち合わせは完璧だ。
松田さんがメインで話をして、俺が援護射撃、磯野はこういった交渉は不得手なのでなるべく話さないようにすることとした。

スマホの録音アプリをセットし、さあ、満を辞して応接室へ。



重い空気の応接室


俺:失礼します。
磯野:失礼します。
松田:失礼します。


応接室では、社長、営業部長の後藤、総務課長の山下が陣取っていた。




社長:ま、座れ座れ座れ。



俺:ここでいいですか?はい、では失礼します。



山下:それでは、よろしいですか?




社長:えっと、まず何からだ。




山下:まずは雇用契約のことですね。





松田:そうですね。まず労基署からの指導で雇用契約書が必要ということで言われていますが、雇用契約自体は契約書が無くても申し込みと承諾の意思表示で成立する諾成契約です。ゆえに、これは労基署にも確認しましたが、労基署が雇用契約書を締結しなさいという指導は原則しないですし、法律に基づかない勧告はしないそうです。
なぜ今回会社が雇用契約書を執拗に求められるのかまず理由が聞きたいです。
これは何の違反だと言われたのですか。



山下:労基法15条違反です。



松田:労基法15条違反は労働条件通知書のことですよね。雇用時に労働者に雇用条件を書面で通知しなければならないという。



山下:そうですね。




松田:それはあくまで通知なので、雇用契約書は関係無いんじゃないですか。




社長:ちょっと待って、雇用通知書?どういうこと?




松田:あの、労働条件通知書というものを書面で出すことが義務付けられてますという話です。




社長:それは私がかね。



松田:そうです。



社長:皆に。



山下:そうですね、会社から。




社長:いつ?それは?




松田:雇用契約時にです。雇う時に。




社長:はぁーっ。やってないもんなそれは。




松田:ま、それはやってなくてもこの場では良いです。まあ後から出す分には本当は罰則とかあるのですが、ただ知らなかったとかいろいろ事情もあると思いますので。




社長:これは、私も知らなかったのでこれはこれで次にいこうか。それで?




松田:それで、雇用時から現在までの条件と、新雇用契約書の条件、内容は同じなんですか。




社長:違うよな。




松田:違うのであれば、まずは従前の労働条件通知書を出して頂いたうえで、新しい労働条件を提示して頂いて、変更点を利益不利益を説明したうえで同意を得るのが正しい手順じゃないでしょうか。




社長:うーん、それはそうだなぁ。



山下:本当は一方的な明示でよかったのですが、労基署の方から、こういうひな形があるのでやってくださいと言われたのが雇用契約書だったということです。



松田:それならそれでも良いと思うんですよ。ただ問題なのは、従前の契約と新しく出されたものが違うということだと思います。



山下:うん、まあ固定残業の部分はたしかに違いますね。



松田:それだけですか?



山下:あとそれに伴って手当の内訳も多少変えてます。



社長:よし、建設的にやろう。どうしたらいい?



山下:まず労働基準法15条1項の労働条件通知書を出してくださいということのようです。



社長:私がやってなかったから、作らなきゃいけないと。まずはそれをするということだね?



山下:雇用契約書がそもそも無かったため、雇用契約書を作ることで条件通知書も兼ねようとそういう動きだったのですが。その辺は私も認識が甘く、監督官からこのひな形でと言われて、そういうものだと思ってお願いした次第なんです。

雇用時の約束?




俺:では内容が違うのは何故ですか?



山下:ですから、今まで、雇用時に皆さんが社長と約束された内容がありますよね。



俺:その内容っていうのは何ですか?




山下:それは私は十分に把握してないんですけど、残業?残業代?が無いとかいう



俺:残業はあるってことは聞いてました。残業代が無いという話は聞いていません。



社長:残業はあるんだよ、もちろん。私の頭の中と皆さんの頭の中が違っていて、残業はあるけど残業代は付けないと言ったつもりだ。これは皆さんとの合意事項の認識だった。皆さんは営業に残業代があると思ってたの?それで実際残業代出ていないのに何年もそれで働いてたの?



俺:残業代が出ないっていうのは法的に認められるんですか?



山下:それで今回、固定残業制度という。



松田:固定残業は新しく採り入れたいという話ですよね?今話してるのは従前の雇用契約の話です。



俺:我々が今申し上げていることは新しい労働条件を提示されるのはいいですが、不利益が生じてはいけないという話です。



後藤部長:今皆が不利益になるんじゃないかと思っている点を確認していけばいいんじゃないですか。みんな残業はしなきゃいけない、残業代が出ないのは分かっている。それが営業だ。そこは共通認識でしょ?



俺:共通認識では無いですね。



松田:それはいつ共通認識になったんですか?例えばいつ説明されたんですか?



後藤部長:そんなの最初っからじゃない。



後藤部長が口を開き、さらに議論はヒートアップ
。1時間を越える話し合いにつき、何部かに分けて書いていきます。



つづく

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