【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

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第34 話 退職願と退職届は別のもの

和解提案に対する回答があって数日間、ずっと引っかかている点があった。



10月7日付で退職願が出されている以上、復職の意思がないことは明白であり、バックペイは発生しない。



この頃はネットで判例を調べるのが日課になっていた。その結果、辿り着いた閃き。




退職願は撤回できるんじゃないだろうか。
もしくは錯誤無効になるんじゃないか。



まず退職願と退職届は観念的にも法的にも全く違うものだということ。※1

退職願 退職意思の表明、使用者の承諾を前提条件としている合意退職の申し込みをするもの。

退職届 一方的に退職を通告するもので、確定的に雇用契約を終了させる意思表示。


そして判例からすると退職の意思の表明(退職願)は、権限のある役職者が承諾するまでなら撤回できる。※2


※1  労働判例720号24頁「ジャレコ事件」東京地裁平成9年6月20日判決

※2労働判例725号40頁「学校法人 白頭学院事件」大阪地裁平成9年8月29日判決


本件に当てはめて考えてみる。

今回提出した10月7日付退職願は日付は書かなかったが合意退職の申し込みをしたことは否定できないので認め、有効であるといえるといえる。退職日が書かれていないこと、退職日を有給休暇、代休の消化後としていることで、確定的に雇用契約を終了させる意思表示であったとまでは言えないから、退職届(確定的な意思表示)では無いと言えるのではないだろうか。

合意退職では無く、解雇となっているのだから、一旦退職の申し込みは拒絶されて、使用者から改めて一方的かつ確定的な意思表示により労働契約を解除されたと言えると思う。


例えそれが認められないとしても、


10月7日の話し合いや一連の経緯において、新雇用契約に署名しない場合や時間外手当を請求する場合には会社を辞めるべきともとれる言動があったため、退職勧奨を受けていると思い退職願を提出し、退職願を提出しなければ解雇処分されると信じる理由があった。
結局退職願を提出しても解雇をされたが、退職願を提出すれば解雇処分を避けられると誤信して退職の申し込みのをしたわけで、退職願を提出しても解雇されるのであればそもそも提出する意味がないため提出することはなかった。
黙示的に動機は示されていたことは事実が裏付けているし、退職願の意思表示は要素の錯誤となり無効ではないか。     
(昭和電線事件―横浜地裁川崎支平 16・5・28 労判 878 号 40 頁を参考)





退職の意思表示がなくなれば、会社側のバックペイは発生しないという論拠は崩れるはず!


この閃きが合っているかどうか、竹下先生に聞いてみることにした。


つづく。
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