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これまでの経緯48 原告準備書面⑶


 原告準備書面⑶

平成29年4月〇日

原告は、被告作成の平成29年3月〇日付準備書面⑵に対し、以下の通り、反論する。

 

第1 雇用契約」について」について

1 原告の賃金つき」について

平成27年12月に5000円の役付手当が支給されているところ、訴状別紙に反映されていなかったため、訴状別紙1から3を差し替える。


2 被告の所定労働時間」につき」について

被告は、原告が提出する就業規則労働基準監督署への届出をしておらず、被告が参考資料として保管していたものであり、利用しいないと主張する。むしろ、被告は、被告が書証として提出する就業規則及び給与規程が労働基準監督署に届済みの有効なものであると主張する。

しかし就業規則は、労働基準監督署への届出ではなく、周知が効力発生要件とされているところ労働契約法第7条京都地裁平成13年3月30日判決被告が書証として提出する就業規則及び給与規程は、常時見やすい場所へ掲示されていなかったし、備えつけられることもなく、書面で交付されることもなかったのであり、周知されていなかった(労働基準法106条1項、同法施行規則52条の2)。実際、被告管理部課長が原告ら従業員に対して送信した平成28年9月〇〇日付メールには、「本日より就業規則(賃金規程等、36条協定含む)を月~金9時~18時まで管理部後ろのキャビネットの横に吊るします。」との記載があり、被告が提出する就業規則及び給与規程は、平成28年9月〇〇日から周知されるようになったことが分かる。

以上より、被告が提出する就業規則及び給与規程、平成28年9月〇〇日までは無効である。

したがって、就業規則(乙4)記載の1年単位の変形労働時間制は、平成28年9月〇〇日までは、そもそも無効である。

仮に就業規則が有効であるとしても、1年単位の変形労働時間制が有効とされるためには、対象労働者の範囲や対象期間及び起算日、特定期間、労働日及び労働日ごとの労働時間、労使協定の有効期間について労使協定を締結し、労働基準監督署に提出する必要があるが、本件においては、これらについての労使協定は存在しないので、やはり無効である。

万が一、このような労使協定が存在しても、実際には、原告は週40時間を優に超える労働を毎週のようにしていたのであるから、労使協定の定めが履践されておらず、この点でも無効と言える。


3 ⑶「休日」につき」について

被告は、前項と同様に、被告が書証として提出する就業規則第18条の規程が正しいと主張する。

しかし、前記のとおり、就業規則は周知されておらず、無効である。


第2時間外・休日・深夜労働の提供について」について

1 ⑴「「原告の仕事内容」につき」について

「平日」につきについて

被告は原告創造的な仕事をしており、自らの裁量で一日3時間までを目安に時間外労働をしていると主張する。被告のこの主張が何を意味しているのか明らかではないが原告は、被告の主張するようなことを、入社時は勿論のこと、その後も一切聞いたことがなく、被告の準備書面⑵により初めて知った。

実際にも、原告の仕事は、下記の通り、被告具体的指示に基づくものであり、創造的な仕事とは言い難いし、被告の指示する仕事を遂行するために時間外労働をせざるを得なかったのであり、自分の判断で時間外労働をしたとは言い難い

原告は、設計業務や接客、営業、他部署との会議等様々な仕事をしていたが、とりわけ、原告の労働時間が長かったのは、直近のアポイントの顧客に対する提案用のプラン作成や図面入力作業である。プラン作成図面入力の流れは、まず製図に用いるプランニングシートに鉛筆等を用いて手書きで、簡易に間取りや家具配置、外構計画(以下ラフプランという。)を作成するラフプランの描写が完了した時点で後藤部長に一度提出し、プランの方向性について了解をとることとなっていた。ここで後藤部長から修正ややり直しを指示され、了解が出るまでCADでの入力作業に入ることは原則として禁止されていた。後藤部長の了解が得られればCADソフトにて図面を入力し、プリントアウトして入力ミスが無いかチェックする。原告は原則として、この時点でも後藤部長にチェックを願い出て確認を受けていた。そしてそれが完了すれば、プレゼンが出来るよう資料をまとめる準備作業をするというのが一連の流れである。なお、個々の能力や顧客の依頼内容、対象物の大小にもよるが、一度のラフプラン作成に通常必要となる時間は40坪程度の大きさの建物で間から4時間、CADでの図面入力に必要な時間は3時間から5時間である。なお原告は建築関係の業種について未経験で学歴も建築関係とは全く関係が無く、中途採用されたものであり、プラン作成やCADでの図面作成には不慣れな点もあり通常よりも時間がかかることが多かったが、後藤部長や被告代表者自身もそのことは、採用時から履歴書や職務経歴書で把握していたはずであるし、それをふまえた上で採用を決定している。

以上の通り、原告は、後藤部長が認めるものでなければ、顧客に提案することが許されていなかったため、何度でも書き直しや修正をすることが必要であったのであり、設計業務は、決して、創造的で裁量の大きい仕事内容ではなかった。

また、原告は、被告から、顧客よりプラン作成依頼や修正依頼を受けた場合の次回アポイントの日時の設定を、その接客時から1週間程度を目処とするよう指示をされていたため、担当顧客のプラン作成依頼修正依頼が重なると作業量は膨大となり、時間外労働をすることが常態化し、深夜に及ぶことも珍しく無かった。この通り、長時間の時間外労働は、原告の裁量ではなく、被告の指示する仕事を遂行するためのやむをないものであった。

また、後藤部長は、プラン作成依頼、修正依頼の内容や重なり状況を知っていたし、原告らからラフプラン及びCAD入力が完了した図面を提出され、確認作業をしていたのであるから、個々の顧客についてプラン作成や図面入力に必要となる作業時間について、把握していたはずである。

さらに、営業についても、日報において事前に、事後に被告に営業先を報告し、後藤部長らと相談し、指示を受けながら仕事を進めていた。また、業務標準書の「一日のルーティンワーク」の「客先訪問」において、営業の仕事の進め方が記載されており、創造的とは言い難い。営業の時間についても、業務標準書において、最長2時間、最短20分と規定されており、裁量があるわけではない。

なお、一般的な建築会社では、営業と設計は部署が別れていることが大半であるが、被告会社においては営業社員は設計業務も兼務していた。ゆえに原告の業務は、一般的な建築会社の営業社員と比較し、繫多であった。また原告は新人の育成、イベント企画とその準備や告知、展示場ののぼりや懸垂幕など販促物の作成発注業務、展示場の運営業務など多岐に渡る業務をするため所定労働時間で労働を終えることは通常不可能であり、所定労働時間を超える労働が必要となることは明らかであった。さらに、原告は、他部署との打ち合わせや日報の作成も義務付けられていたのであり、この点でも原告の裁量はほとんどなかった

以上の通り、原告の仕事は創造的ではなく、裁量があるものではないし、時間外労働は、明示的又は黙示的に指示命令されたものであることは明らかである

また、被告は、一日のどの時間を何処で労働するかは、営業社員が自分で決定するので、上司からこれを指示することはないとも主張する。しかし、業務標準書の「一日のルーティン業務」の「5.本社での業務」において、本社では本社でしか出来ない業務のみを行い、設計プランニング・CAD等一切の業務は原則としてモデルハウスにおいて行うように指示されている。したがって、被告が、原告の一日の仕事内容について指示し、管理していたことは明らかである。

   

イ 被告も主張する通り、月曜日の午前8時15分から9時までは全社員で営業情報を共有することとされていた。朝礼も指揮監督下に義務的に行われる場合には労働時間となるところ、本件の朝礼は、業務標準書の「一日のルーティン業務」の「朝礼」にも記載がある通り、被告からの指示に基づくものであり、参加を義務付けられているのであるから、労働時間であることは明白である

被告は、原告が朝礼後は自分で立てる営業活動の予定で活動を行っていたと主張する。

しかし業務標準書の「一日のルーティン業務」上長上司への本日業務の事前確認(20分以内)」は、原告ら営業設計部社員は、上長上司とその日の業務について事前確認し、その予定の通り行動するべきで、勝手に行動予定を変えてはならない旨が記載されている。実際にも、原告は、その日の業務内容について、前日の日報で事前に後藤部長ら上長に報告し、確認をとった上で業務をしていた。業務標準書から明らかな通り、被告では、上司への報告、連絡、相談が重要視されており、原告が自由に自らの裁量で仕事をすることは許されていなかったのである。

したがって、原告の業務は、被告の指揮監督下にあり、被告の主張は誤りである。


ウ  被告は、木曜日に朝礼がないと主張する。しかし、業務標準書の「一日のルーティンワーク」の「朝礼」によれば木曜日も8時45分から部門朝礼を行うこととなっており、実際に木曜日に朝礼を実施していたこのことは、日報にも記載があり、被告の主張は誤りである。そして、朝礼の時間は、前記の通り、労働時間に当たる。


エ  火曜日、水曜日、金曜日に朝礼がなかったことはその通りである。

被告は、原告がその日の労働を自らの工夫で活動すると主張するが、出勤した際には、被告の指揮監督下で労働していたことについては、前述のとおりである。


オ   被告は、後藤部長がモデルハウスにおいて、原告の業務に対して個別の指示をすることはなく、モデルハウスでの労働時間を指示することもないと主張する。

しかし、後藤部長は、原告ら営業設計部社員に対し、プランの修正指示をしていた被告が述べるところのモデルハウスでの労働時間の指示について何を意味しているのか明らかではないが、原告は、本社に出社し、それからモデルハウスで業務に従事し、その後、お客様一家の主たる生計維持者が在宅しているであろう時間を狙い訪問営業をして、それから本社に戻り、業務をするように指示されていた。


カ 被告は、本社に出社するか本社に帰社するかについて、原告が自由に決めていたと主張する。

しかし、原告は、土日祝以外は本社への出社が義務付けられていたし、土日を含め原則として本社へ帰社することが義務付けられていた。このことは、就業規則に規定されていない細目について定める「〇〇ハウス株式会社 ルール」の「12、直行、直帰について」おい、直行直帰が禁止されていることからも明白である。


キ 被告は、社内メールなどの確認を何時に何処で行うかは原告が判断すればよかったと主張する。

しかし、業務標準書の「一日のルーティンワーク」の「Eメールの受信確認(10分程度)」の記載の通り、原告は、アカウント3種のメールを毎朝確認することが義務付けられていた。また、同「業務報告」の記載の通り、本社に帰社後にEメールの受信確認が義務付けられていた。実際にも、原告は、直行直帰が禁止されるため平日は始業時終業時のメール確認は本社で行うことになる。


ク   被告は、業務日報について、翌日以降の事後報告でも可としていたと主張する。

しかし、業務標準書の「業務報告」において、退社前に業務日報を出すことを求めている。また、被告ルールの「16、退社時の確認事項」において、退社前の日報作成を求めている。


 ⑵ 「土日祝日」につきについて

 ア   被告は、8時45分から9時までスキルアップの朝礼には原告の判断で任意に参加すればよいから、労働時間ではないと主張するようであるが、以下の通り誤りである。

まず朝礼とスキルアップの勉強会は別である。土日祝日の始業時の流れをここで改めて確認すると、8時45分から5分ほど、各モデルハウスにて営業社員全員出席のもと朝礼を行い、朝礼直後の8時50分頃から9時0分頃までスキルアップの勉強会を行い、それから10時の開店までモデルハウス内外の清掃作業及び開店準備をすることがルーティンとなっていた。そして、8時45分からの朝礼は、業務標準書の「一日のルーティンワーク」の「朝礼」にも記載がある通り、任意出席では無い。むしろ、同時刻に1分でも間に合わなければ遅刻と扱われるし、原告は後藤部長から叱責されたこともあった。したがって、朝礼は、被告の指揮監督下にあり、参加が義務付けられていたことは明らかであるから、労働時間に当たる。

スキルアップ勉強会も、業務標準書の「週間のルーティンワーク」の「スキルアップミーティング」記載の通り、8時50分から9時20分まで実施することとなっていたのであり、被告の指揮監督下にあり、参加が義務付けられていたことは明らかであるから、労働時間に当たる。

清掃作業開店準備は、モデルハウスにおける接客業務のために必要であり、被告の指示で行っていた。したがって、清掃作業や開店準備も、被告の指揮監督下にあり、義務付けられていたのであるから、労働時間に当たる。

なお、被告は、後藤部長が原告の業務に対して個別の指示をすることがないと主張するが、後藤部長は、原告が作成する図面の修正指示をしていたし、営業の内容についても指示をしていたことは、日報に記載のある通りである。


イ 被告は、被告として原告に対してモデルハウスに行くことを指示していないが、パソコンがあるから原告がモデルハウスに行っていたと主張しているようだが、誤りである。

原告らが行う図面作成はフリーソフトでありインターネットから容易にいつでもダウンロードで可能なJWWというCADソフトを社員各人に貸与されたパソコンにインストールして主に使用することとなっていた。一方、モデルハウスに設置されたパソコンに特別な設計ソフトは入っていなかった

内外観の3完成イメージをCGソフトを使い作成することがあったがこれは本社に保管されるCDRでインストールするものであり、必要に応じて各社員が会社から貸与されたノートパソコンにインストールしていた。モデルハウスのパソコンと比較して貸与されているパソコンが機能的に劣ることはなかったため、モデルハウスのパソコンを使用する必要性はなかったまた、基本的にモデルハウスのパソコンモデルハウス常駐の事務員専用機となっている為、営業設計部員が使用することはなかった。実際使用することはなかった。なお、モデルハウス内で顧客提案用の図面作成をすることがあったことは被告が主張するとおりである。


2 時間管理の方法につきについて

被告は、タイムカードに記録された出勤時刻、退社時刻をもって労働の開始と労働の終了とみなすことはできないし、出勤時刻と退社時刻の間を労働時間と見ることはできないと主張する。

しかし、タイムカード等の機械的記録による方法のみで時間管理を行っている場合には、裁判例では、特段の事情がないかぎり、タイムカードの記載する時刻をもって出勤・退勤の時刻と推認することができるもので、本件においても、右設定のとおり、これによって労働時間の管理がされ、タイムレコーダーの管理も全く杜撰であったとはいえない以上は、個々の原告らについて特段の事情の有無を検討することになるものの、原則として、これによって時間外労働時間を算定するのが合理的である。」「タイムカードを打刻すべき時刻について特段の取決めがなされたとの事情の窺えない本件においては、タイムカードに記載された出勤・退勤時刻と就労の始期・終期との間に齟齬があることが証明されないかぎり、タイムカードに記載された出勤・退勤時刻をもって実労働時間を認定するべきである。」大阪地裁平1131日判決労働判例772号60頁。甲35)としている。

この特段の事情の立証責任は、労働基準法108条及び労働基準施行規則54条によって労働時間の把握義務を課された使用者にあると考えられるため、被告が特段の事情の立証をしない限り、タイムカードの打刻通りの労働時間が認定されるべきである現実にも、原告の仕事量からすると、タイムカード記載の労働時間は合理的である。

なお、厚生労働省通達(平成13.4.6基発第339号並びに平成15.5.23基発第052004号)においても労働時間の適正把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準が示されており、始業終業時刻の確認及び管理の原則的な方法として使用者自らの現認およびタイムカード、ICカード等の客観的記録を基礎とすることとしている。

被告は、モデルハウスに直行する土日について、翌日以降に営業社員が被告に出社時に自己申告の時刻を手書きしていたと主張する。

しかし、自己申告の手書きの出退勤時間記載については都度毎月のタイムカードに後藤部長による確認の押印があるため、この手書きの時刻をもとに労働時間が算出されるべきである。仮に、実労働時間について齟齬があるのであればそこで指摘や修正指示をされるべきである。したがって、被告の主張は当を得ないものである。

 

 3 残業実績につきについて

被告は、ワンオペの際の休憩時間について、労働時間ではないと主張するようである。

しかし、菅野教授の労働法によると、「所定就業時間のなかで休憩時間とされている時間も、実質的に見て手待時間であると認められれば労働時間となる。たとえば、店内で休憩していることを要し、客が来店した際には即時に対応しなければならない時間は手待時間である。」とされている。そして、本件においては、訴状記載のとおり、原告は、休憩時間であっても、モデルハウスにおいて、顧客の他に業者の営業者、宅配業者、保守維持管理業者、総合展示場関係者等の来客があれば対応することが命令されており、電話対応も求められていた。そしてこれらはいつ対応が必要となるかは定かではない。よって、原告のワンオペ時は全てが手待時間である。

なお、被告はトイレや休憩も可能と主張するが、トイレについては労働者の健康維持管理のためやむを得ない行動であり、トイレに行くことが可能であることは当然に保障されなければならないのであって、トイレが可能であることは、ワンオペ時の休憩時間が手待時間であることと矛盾しない。また、訴状記載のとおり休憩時間は労働からの解放が保障されなければならないのであり、仮に休憩が可能であったとしても、来客等があれば対応を迫られる手待ち時間は休憩とはならない。原告は、ワンオペ時の休憩時間をゼロにした上で未払い賃金等の増額分を請求する予定であるので、ワンオペであった日を開示するように再度求める。

 

第2 第1、3 第4項「付加金の請求」」について

原告は、平成29年2月〇日、〇〇労働基準監督署長宛に告訴状を提出した

すなわち、被告は、原告ら被告の労働者に時間外労働や休日労働をさせていたにも関わらず被告の労働者との間で労働基準法36条に定める協定書も締結していなかった。

被告は、所定労働時間を大幅に超える労働をさせていたがその全てが違法なものである。

また、被告は、平成28年7月に労働基準監督署の調査で時間管理や残業代の未払いについて指摘を受けると、訴状記載の通り、賃金総額を変えずに固定残業制度を含んだ新雇用契約書に書面捺印を求め発生する残業代について一切の支払いを逃れようとした。原告がこの不利益変更に対し応じることを拒否し、これまでの残業代を請求すると被告は突然に原告を不当解雇した。

そして、被告は、これまでの残業代請求に対し、一切支払っていない

被告の態度等、本件に顕れた一切の事情を考慮すると、未払賃金に対する付加金の支払いが命じられるべきである。


 第3「事業場外みなし労働時間制の適用がないこと」について」について


1 「モデルハウスにおける勤務について」につき」について


⑴ モデルハウスが事業場に当たること

被告は、モデルハウスは、事業場ではないと主張する。

確かに、モデルハウスという名称からは、単にお客様に家を見てもらう場所という印象を受けるかもしれない

しかし、以下の通り、本件のモデルハウスが事業場に当たることは明白である。

すなわち、事業場とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体をいう昭和47年9月18日発基第91号通達

そして、原告が働いていたモデルハウスには、事務員がおり、同事務員は、モデルハウスに直行直帰していた。さらに、従業員には個別のデスクが割り当てられていたし、固定電話も社員各々割り当てられていた原告ら従業員は、モデルハウスで設計もしていたし、接客もしていたモデルハウスには、複合機もあり、パソコン設置されていたこれらの事実から、モデルハウスは、原告ら従業員が組織的に継続的に作業をする場所であることは明らかである。

また、原告の名刺は、モデルハウスが営業所として記載されており、名刺の裏面でも、別のモデルハウスが営業所と記載されており、このことからも、モデルハウスが事業場であることは明白である。


⑵ 仮に、モデルハウスが事業場に当たらないとしても、モデルハウスにおける勤務は労働時間を算定し難いときにあたらないこと被告は、後藤部長が部下に指示する時間が無かったと主張する部長という立場にありながら、部下に指示していないという被告の主張はそれ自体不合理である。また、質問に答えたり助言することは出来て指示する時間が無いという主張も不合理である

実際、後藤部長は、原告ら従業員に対し、設計の修正指示を出したり、営業の方針について指示を出すなどしていた。


被告は、パソコンや携帯電話で業務指示をしたことはないと主張する。しかし、原告は、訴状記載のとおり、パソコンや携帯電話で指示を受けていた。また、被告は、業務標準書は、設計プランニング・CAD等の具体的な作業は本社ではなく、住宅展示場で行うことが望ましいという考えを述べたまでであり、常時住宅展示場にいるように業務指示を出しているものではないと主張する。


しかし、被告では社員の入れ替わりが多いことから、常日頃から業務標準化に力を入れていた。その結果策定されたものが業務標準書である。業務標準化は、一般的に、業務の効率化を目的として会社が、従業員の業務の方法を統一することである。それにもかかわらず、実際の業務の方法が任意というのであれば、そもそも業務標準化の意味を成さない

新人であっても誰であっても、それに従って秩序もって皆同じ行動がとられるよう定めた部内の規則というのが被告会社においての業務標準書の位置付けである。そして、被告は、業務標準書が改訂される度に、メールで周知していたように、業務標準書を重視していた。以上のことからこの業務標準書に規定されることは全て具体的な業務指示であることは明らかである


以上の通り、モデルハウスには、後藤部長のような労働時間の管理をする者がいたので、[1]の適用除外にあたる。また、後藤部長がいないときでもパソコンや携帯電話で指示を受けていたので、[2]の適用除外にあたる。さらに、原告は、モデルハウスへの直行直帰が禁止されていたし、モデルハウスでの勤務について、業務標準書にも記載のある通り、被告から指示されていたのであるから、[3]の適用除外にもあたる。そして、そもそも原告の労働時間は、本社で打刻するタイムカードにより管理されていたのであるから、労働時間を算定し難いときにはあたらない。したがって、事業場外みなし労働時間制の適用はない。


なお、被告は、阪急トラベルサポート事件判決に照らしても、モデルハウスにおける労働には事業場外みなし労働時間制が適用されると主張しているようであるが、訴状記載の通り、やはり事業場外みなし労働時間制は適用されないことは明白である。

 


2  訪問営業についてにつきについて


被告は、訪問営業について、事業場外みなし労働時間制を適用するべきと主張する。

訪問営業について、事業場外みなし労働時間制が適用されないことについて、訴状で記載した通りであるが、以下の通り補足する。


原告は、被告から、おおよそ18時から20時までを目安に訪問営業をするべきであると指示されていた。おおよそ18時以降と指示されていたのは、住宅を購入する決定権限を持つ、主たる生計維持者と直接話をするためには、18以降が望ましいとされていたからである。おおよそ20時頃までとされていたのは、あまりに遅い時間に訪問すると、宅地建物取引業法施行規則16条の12第1号ホへ及び特商法等の法令に抵触する恐れがあるためであった。


さらに、業務標準書の「一日のルーティンワーク」の「客先訪問」には、毎日、できるだけ多くのお客様を訪問し、有効面談をするべきことが記載されている通り、原告は、毎日、できるだけ多くの訪問をするように指示されていた。確かに、訪問先については、原告が決めるが、後藤部長が、このお客様を訪問するべきと指示を出すこともあるし、そもそも、日報において、後藤部長には、訪問先を事前にも事後にも報告している。また、訪問営業についても直行直帰が禁止されていたなお、別訴原告磯野氏作成の平成27年7月〇日付日報において、後藤部長が「この近辺で移動にどのぐらい時間がかかるかは、20年動いている私にはほぼ分かります。とコメントしていることから、原告の訪問に伴う移動時間についても後藤部長が把握していたことも分かる。


以上より、訪問営業についても、被告の指揮監督下にあり、労働時間を算定し難いときには当たらないことは明白である