50回目ですね。当初想定していた以上にここまでに記事数を使っています。
さて、第3回弁論準備手続です。記憶を呼び起こして書いていきます。
新しい裁判官
人事異動で新しい裁判官となり最初の期日です。
今回は松田さんは来られず、俺と磯野とうちの先生と臨みます。
裁判官:それでははじめます。前回までの裁判官が異動になりましたので今回から変わりました。鈴木(仮名)です。あわせて書記官も変わりますのでよろしくお願いします。
結構若い男性の裁判官でした。(30代半ばぐらい?)
第一印象としてはさわやかで感じは良いです!
裁判官:まず原告から準備書面⑶が提出いただいてますね。陳述でよろしいですね。
原告代理人:はい。
裁判官:陳述とします。それに伴って証拠が甲24〜30の2までですね。それぞれ写しを原本に代えて提出と、甲30の1はCD-Rですかね?録音データとそれを文字に起こしたものですね。提出としますがよろしいですね。
原告代理人:はい。
被告代理人:はい。
裁判官:被告の方でも準備書面が出てますね。これも陳述で、書証提出は無いですね。
被告代理人:はい。
裁判官:じゃあ、書面の確認終わりました。代わったばかりでまだあまり把握出来ていないんですが、解雇の件は緊急性高いので早く解決した方がいいとは思います。働けないわけですよね?
同時にやっていると複雑ですし、未払い残業代に絞っていった方が争点が明確化すると思いますがいかがですか?
原告代理人:解雇の件と未払いの件は分離して進めていただくことは出来ないんですか?前の裁判官には相談したところ、証人尋問も2回することになるので難しいという見解でしたが、訴訟指揮については新しい裁判官の考えもあると思うので次回以降で協議して欲しいとのことでした。
裁判官:解雇の件だけ分離して先に判決にいけないかってことですか?それはいくらなんでも、双方いろいろ関わってくる部分もあるでしょうし、人証調べを2度やるというのはやっぱりねえ、ちょっと無いです。
原告、被告、少し別れて話しますか。まず被告代理人は外に出ていただいて。
ガチャン。(被告代理人部屋の外へ)
それぞれの条件
裁判官:俺さんと磯野さんは今は働けてないわけですよね。どうされていますか?
俺:ええ、そうです。一応は復職を求めてますので。失業手当を仮払いで受給していますが、もうすぐそれも受給期間が切れます。
裁判官:未払いの件もあるので判決となると長い時間要すると思いますが、それでもやはり争っていこうっていう感じでしょうか?
俺:もちろん収入が無くなるのは、困りますね。これまで会社からの給料を基礎に生計を支えていたわけですので。失業手当が無くなれば切り崩していき減る一方ですので。賃金仮払いの仮処分の申請なんかも検討していますが、時間かかったり、最近ではなかなか難しいとは聞いています。とにかく出来るならもっと裁判の進行を早めていただきたいですね。
磯野:僕は俺さんと少し違って納得出来るような条件であれば、判決にはこだわってはいないです。あくまで条件次第ですが。
裁判官:では今度は被告側と話しますので、原告側は一度退室いただいて。またお呼びしますので。
被告側と入れ替わる。
待合室へ異動。
俺は俺、お前はお前か
俺:和解させたがってますね。俺的には全然する気が無いですが。
磯野:僕はべつに和解でもいいけどね。俺さんと違って貰った失業手当は少ないから、返す額も少ないし、手元にある程度残れば解雇の件はもういいかな。
俺:解雇の件で今まで主張や証拠積み上げてきたの無駄になるじゃん?結局和解なんて妥協だよ?完全に不当解雇なのに妥協することなんか俺達にはある?
磯野:俺さんの言うことも分かるけど、僕は取れるものは取れるうちに取っておきたい。可能性は低いけど万が一会社がいつ潰れるか、意図的に潰されるかも分からないしね。判決もらっても取れませんでしたじゃ意味が無いし。
僕にとってこの件で重要なのは、退職日がいつになるかってことで、次の就職までの不自然な空白期間を作らないことだから。それが和解の日付になって、なおかつ幾らか浮けばそれでいいと思ってる。
俺:分かった。磯野がそれでいいならこれ以上は何も言わないよ。俺は俺、お前はお前だ。
元々それは約束だもんな。自分の利益を追求して協力できる部分で協力する。人の選択は咎めない。
ここで書記官が呼びにきた。
書記官:被告側終わりましたのでもう一度原告側だけで話しますので入ってください。
裁判官:次回期日で一度和解出来ないかを話合いを持ちましょう。原告側でもどのような条件なら和解が出来そうか一度考えてもらえないですか?訴状提出後初回期日前に双方で和解案を出し合って交渉してますね?証拠提出もされてますね。
この条件では原告側も納得出来ないでしょうし、これはもう無い話ですよ、忘れてくださいと先ほど被告代理人には言いました。これより進んだ話をしてもらうようにと。
ただ、原告側も和解日まで全期間分ってことでは被告も受け入れないですのである程度譲歩も検討していただければと思います。
原告代理人:分かりました。
磯野:はい。
俺:一応検討はしてみますが、現時点ここまでのバックペイについて譲歩する理由があるとは考えていません。
被告は和解できればこれから先、判決までのバックペイも無くなることになるのでこれが被告のメリットだと捉えています。
和解することによる私のメリットは敗訴のリスクを回避できることと判決を待たずに解決できることですよね?敗訴のリスクと時間がかかることを受容すれば、和解しないっていう選択になると思います。
裁判官:まあ、次回まで時間がありますので一応検討はしてみてください。
それでは被告代理人にも入っていただいて。
ガチャン 書記官が呼びに行き、被告代理人入ってくる。
裁判官:次回期日は解雇の解決に向けて話し合う期日とします。被告側は会社の代表者も出席いただけないですか?
被告代理人:そうですね。出席していただいた方がいいと思いますので、その方向で聞いてみます。
裁判官:俺さんも磯野さんも出席いただくようにお願いします。
このあと次回期日について調整して終了。
という矢先。
原告代理人:あの、以前の裁判官から解雇の件については分離は出来ないにせよ、心証だけでも示していただくように引き継ぐ裁判官に伝達すると聞いていたのですが。
裁判官:裁判官の心証開示というのはそんな軽いものでは無いです。もっと審理を重ねて人証調べもして形成されていくものです。分かりますよね?
原告代理人:ああ、はい。まあ。以前の裁判官が伝えると仰られていたことなので聞いたのですが…。
裁判官:では、終わります。
-期日終了-
うちの先生は、ちょっと真面目でストレートなお人ですが、
これは解雇の件についてはもう裁判官は遠回しには心証を示していてくれてたんじゃないでしょうか。
少なくとも和解解決に持ち込むために被告とマンツーマンで話した時には不利な形勢を伝えていると感じました。
つづく。