【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第52話 和解へ誘導する裁判官

ブラック社長登場


f:id:moto_shachiku:20210122200333p:plain 第4回期日。


部屋のドアを開けると、社長の姿が。 

社長:おう、ご無沙汰やなぁ

平静を装うかのように笑顔で語りかけてきた。
こちらは背筋を伸ばし表情を緩めることなく小さく返事をし、席に着く。


遅れて書記官と裁判官が入ってくる。
そうして始まる弁論準備手続き。


まずは恒例の提出書面と証拠の確認。
被告が新たに準備書面⑹を期日の場において提出してきた。
そして書面と証拠の確認が終わり、今日の本題は和解が出来るかどうかの確認である。
まずは我々原告側は退室させられ、被告側のみが話をする。

その間、待合室に行き先程の被告準備書面⑹に目を通す。

内容としては日報での終業予定時間とタイムカードの終業打刻時間のズレの部分、この間を本当に労働していた実態があったか疑義を唱えてるものだった。
この場ではどうしようも無いので次回期日までに精査して反論書面を出すことになる。

裁判官の牽制

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ほどなくして書記官が呼びにきて部屋に戻り、また今度は原告側のみで裁判官とやりとりする。


裁判官:被告と話をしましたが、原告側に出していただいた和解条項案とはまだかなりの開きがあります。原告側は譲歩出来る部分は無いですか。


俺:私としてはこれまでしてきた主張と証明に自信を持っていますし、時間がかかっても判決でも構わないところですが、今回裁判所に和解を勧められたので早期解決の努力はしたいと思い解雇から今日までに満たない賃金6ヶ月分とすることでもうかなりの譲歩したつもりです。
被告が原告案を丸呑みするぐらいじゃないと話にならないと思っています。


裁判官:皆さんもよくご存知のとおり解雇をするというのは法的にかなりハードルの高いことです。裁判所としてはそこは問題にしていません。解雇自体は無効です。
ただ仮に判決までいった場合にバックペイを全て認めるとは限りません。代理人はご存知かと思いますが、復職の意思が無いとしてバックペイを制限した判例もいくつかありますし。
今回もそうだということは言っていませんよ。そういう事例もありますよという話です。
全くバックペイを認めないということは無いですが、訴訟外で被告と事前に和解交渉もしてますからその時点で復職の意思が無いという見方ももしかしたらあるかもしれません。判決になった時に和解の方が金額が多かったということもありえます。もちろん必ずそうなるということではないですが。


磯野:僕は6ヶ月分では和解出来るとは思ってなかったので、退職日だけ和解日にしてもらえれば少しは譲っても構いません。今日までで4ヶ月分までなら譲歩します。今日から和解日までは日割で。有給休暇が消化出来なかったのは納得出来ないので、有給休暇分はすでに貰っている解雇予告手当を返還する分と相殺するのであれば。


裁判官:4ヶ月分と有給分ですか。先程話した限りではそれでもまだ開きがあるので、被告が納得するかは分かりませんが、磯野さんについてはそれで話をしてみます。
俺さんについては成立しないと思います。
では原告はもう一度退室いただき、あとで呼びますので待っていて下さい。



さっきの裁判官の話は和解に向かわせるための脅しなのかはたまた本気なのか。
しかし、一つ分かったこと。何にも記録は残らないが解雇は無効だという真っ当な判断は示された。解雇が有効になることは無い。
今後はメインである残業代に集中していけばいい。


しばらくして書記官が再度呼びにきた。


磯野の和解の結論は…!?



つづく

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