被告代理人弁護士が部屋を出ていき。
やっと言えた
俺:まず、私としてはこれまでの主張に自信を持っていますので判決でいっこうに構いません。
最初の期日前に訴外で、あとは先回の期日と、こちらも譲歩を示した上で2度も和解の機会を被告に与えました。どちらも誠意ある回答を頂けず憤りを感じるところです。
この解雇は私が会社の要求する労働条件の不利益変更を受け入れなかった報復とみせしめでされたものだと考えています。
もし簡単に和解で終結すれば、ある程度の金銭を払うことで今後も思い通りにならない従業員を解雇しても問題は無いという誤った認識を被告が持つ危険があります。
今現に被告会社で働いている従業員はどうでしょう。解雇は認められてしまうのだと思ったままで、会社に逆らえば辞めさせられてしまうので、不条理なことを要求されても受け入れるしかない。
もう、この事件は原告被告の中での紛争が解決すればいいというものでは無くなっていると思います。
黙ってみんな聞いていた。
民事裁判というのは、証人尋問まで、書面でのやりとりがひたすら続く。自分の思いや考えなんて発言する場面は殆ど無いのだ。
これまで言いたいことをかなり我慢していた。
思いの丈を吐き出せて、すごく気持ちがスっとする。
謝罪を要求する和解
俺:ですが、、、
私としても早期解決に努力する姿勢は捨てていません。
そこで、考えました。
和解は和解で、判決にはない柔軟な内容を盛り込めると聞きます。
被告がどうしても和解をしたいのであれば、
解雇を撤回した上で、
会社のホームページ上に、今回の顛末と謝罪文を掲載すること。
又は
私を復職させること。
このいずれかであれば、和解しても構いません。
解雇から今日までの賃金は本来9ヵ月分ですが、7ヵ月分+本日~和解日までの日割にしますので、すなわち約1ヵ月半分の賃金については譲歩します。
貫きたい想い
裁判官は目を丸くしているように見えた。
金額を釣り上げるために俺が和解を受け入れないのだと考えていたかもしれない。
幾ばくかの金を投げ捨ててでも貫きたい正しい秩序。
思いもよらなかったのではないか。
同時に判決もやむを得なしと諦めかけていたところ、和解の線が復活したことに安堵したのかも知れない。
裁判官:仰りたいことは分かりました。現従業員に顛末が伝わることが第一ということですね。
仰った条件であれば和解されるということでよろしければ、被告に伝えてみますが。伝えてみないと分かりませんが、HPというのは不特定多数が見るものなので難しいんじゃないかと思います。
復職の方になった場合は出社することになると思いますが、それは大丈夫ですか?
俺:もちろん、出社しますよ。解雇された人間が戻ってきたという事実が大事なので。
それからどうするかは分かりません。続けてみるかもしれませんし、すぐに有給休暇願と退職願を出して辞めるかもしれません。復職したあとのことは私の問題なので、ここではあまり関係無いですね。
裁判官:分かりました。では被告代理人を呼びますので、原告側は一度退室して下さい。
つづく。