争点整理メモが完成した。
こうやって作ってみると今までのまとめみたいで分かりやすい。
最近読書になった方はこれみれば大体この裁判の概略が見えるし、最初の方から見ていただいてる方も復習になるのではないか。
争点整理メモ
1 基本情報
⑴ 所定労働時間
始業午前9時、終業午後6時、休憩正午より60分であるため、8時間である。
⑵ 所定休日
休日は年間105日、法定休日は水曜日とされているようである(乙1から3、被告準備書面⑶)。実態は、隔週の週休2日であり、部内で休日を調整していた。
⑶ 賃金支給期間の単位・締切日・支給日
月単位で、20日締め、当月25日払いである。
⑷ 基準内賃金および基礎時給
訴状別紙1の通りである。
2 時系列
⑴ 平成25年10月頃、原告と被告が期間の定めのない雇用契約を締結した(被告が準備書面⑵1頁で自白)。
⑵ 平成28年6月頃、被告に労働基準監督署の調査が入ったようである。
⑶ 平成28年7月29日、原告の給与体系を不利益に変更する記載がある雇用契約書を交付し(甲3)、日付を空欄にした上での署名押印を迫ってきた。
⑷ 平成28年8月29日、原告は、被告に対し、雇用契約書(甲3)についての修正要望と質問をする書面を被告に交付した(甲4)。
⑸ 平成28年8月31日、被告は、原告に対し、賃金構成の変更は、労基署の指導により、他社並みにとの指導からおこなったこと、殆どの住宅・不動産会社が営業社員へ残業代を手当しないが、今回の労基署の指導により固定残業代を設けることなどを内容とする回答書面を原告らに交付した(甲5)。
⑹ 平成28年9月16日、原告は、被告の回答(甲5)が根拠に乏しく、不十分であり、納得できなかったため、追加の質問を記載した書面を被告に交付した(甲6)。
⑺ 平成28年9月末頃、被告は、賃金構成については従前に戻したものの、残業代については一切請求しないという記載のある雇用契約書(原告がその場で被告に差し戻した為、原告の手元にはない。)を原告に交付した。
⑻ 平成28年10月7日、原告ら被告代表者被告営業部長、被告管理部課長で協議をしたところ、被告代表者らから、定額残業制を入れた新たな雇用契約書に署名押印しないと雇用継続しないことを伺わせる発言があった(甲30の2、12頁等)。
⑼ 平成28年10月7日、原告は、被告に対し、退職年月日については「有給休暇、代休の消化後」、退職理由については「一身上の都合による。」という内容の退職願を提出した(甲11)。
⑽ 平成28年10月8日、被告は、原告に対し、同月9日限りでの解雇を通知した(甲12、被告は準備書面⑴1頁にて自白)。
⑾ 平成28年10月20日、原告は、被告に対し、残業代を請求する旨、資料の開示を求める旨等を内容とする通知書を送付したが、被告は、これを拒否し、現在に至るまで残業代を一切支払っていない(甲14の1、2)。
3 争点及び争点に関する主張の骨子
① 主要事実レベルの概括的な争点の見出し
⑴ 時間外労働の時間数。
⑵ ワンオペの日の休憩時間が労働時間と評価できるか。
⑶ 原告のモデルハウスでの労働について、「事業場外で業務に従事した場合」において、「労働時間を算定し難いとき」にあたるか(労働基準法第38条の2の事業場外みなし労働時間制の適用があるか。)。
⑷ 原告の訪問営業での労働に事業場外みなし労働時間制の適用があるか。
② ①の判断の分かれ目となる重要な間接事実及び③ ②の認定に関してポイントとなる間接事実
⑴ 時間外労働の時間数について
ア タイムカードの打刻が信用できること(補助事実)
(ア) タイムレコーダーが社長をはじめ全従業員から見える位置に設置されていること(甲45、原告準備書面⑷9頁)。
(イ) 被告においては始業時、終業時にすぐに打刻する運用があること(原告準備書面⑷9頁)
(ウ) 原告の仕事量と矛盾しないこと(原告準備書面⑷9~10頁)
イ 原告の仕事量が多いこと
(ア) 原告の仕事の内容(訴状5頁ないし7頁)。
ウ イの労働が被告の指揮命令下にあったこと
(ア) 原告の仕事の進め方は、業務標準書によりきめられていたこと(甲8)。
(イ) 設計業務について、後藤部長の確認、修正が必要であったこと(原告準備書面⑶3頁ないし5頁)。
(ウ) 原告が、仕事内容について、前日に予定を日報に記載し、当日に結果を日報に記載し、報告していたこと。後藤部長らが日報により原告の仕事内容を当然に把握していたこと(甲9、原告準備書面⑷13頁)。
⑵ ワンオペの日の休憩時間が労働時間と評価できること。
ア ワンオペの日の休憩時間を自由に利用できなかったこと。
(ア) 原告が、来場者や電話への対応を義務付けられており、外出等も許されていなかったこと(訴状7頁、原告準備書面⑶13頁)。
(イ) (ア)記載の来場者や電話は、いつ対応が必要となるか定かではなく、モデルハウス開場時間中は常時その可能性があったこと(原告準備書面⑶13頁)。
⑶ モデルハウスでの労働に事業場外みなし労働時間制の適用がないこと
ア モデルハウスが事業場に該当すること
(ア) モデルハウスには事務員がおり、同事務員は、モデルハウスに直行直帰していたこと(原告準備書面⑶15頁)。
(イ) モデルハウスには、複合機もパソコンもあり、原告ら従業員には個別のデスクが割り当てられていたし、固定電話も原告ら従業員各々に割り当てられていたこと。原告ら従業員は、モデルハウスで設計もしていたし、接客もしていたこと(原告準備書面⑶15頁)。
(ウ) 被告の従業員であった際の原告の名刺にはモデルハウスが営業所と記載されていたこと(甲25、原告準備書面⑶15頁)。
イ モデルハウスにおける労働時間は算定し難いとは言えないこと
(ア) モデルハウスには、後藤部長のような労働時間の管理をする者がいたこと(訴状13頁、原告準備書面⑶16頁、17頁)。
(イ) 原告は、モデルハウスにおいて、被告支給のパソコンや電話で後藤部長と連絡をとったり、指示を受けたりすることが良くあったこと。原告は、業務日報により、事前にも事後にも業務内容を報告していたこと。原告は、本社を発つ際、行き先表にどこのモデルハウスに行くかを記載し、報告していたこと(訴状13頁、14頁、原告準備書面⑶16頁、17頁)。
(ウ) 業務標準書にモデルハウスでの勤務を指示する規定があること(甲8、3頁、訴状13頁、原告準備書面⑶17頁)。
⑷ 訪問営業での労働に事業場外みなし労働時間制の適用がないこと
ア 訪問営業における労働時間は算定し難いとは言えないこと
(ア) 原告は、訪問営業の際、被告支給の携帯電話を持参しており、適宜、後藤部長に連絡をして相談をしたり、指示を受けることがあったこと(訴状15頁)
イ) 原告は、業務日報(甲9)により、事前にも事後にも訪問営業先や時間を報告していたこと。原告が、本社の行き先表やモデルハウスのホワイトボードに訪問営業先を記載していたこと(以上、訴状15頁、16頁)。後藤部長が具体的な訪問先の指示を出すこともあったこと(原告準備書面⑶18頁)。
(ウ) 原告は、被告から、おおよそ18時から20時頃までを目安に訪問営業をするべきであると指示されていたこと(原告準備書面⑶18頁)。
(エ) 原告は、業務標準書(甲8、3頁)の記載の通り、被告から、毎日、出来るだけ多くの訪問をするように指示されていたこと(原告準備書面⑶18頁)。
(オ) 訪問営業への直行や訪問営業からの直帰が禁止されていたこと(甲34、5頁、原告準備書面⑶18頁)。
(カ) 被告は、原告の訪問営業に伴う移動時間についても把握していたこと(甲38、原告準備書面⑶18頁)。