【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第74話 手待ち時間

教材

f:id:moto_shachiku:20210307102535p:plain

10月の裁判期日。なにやら今回はいつもと様子が違う。


書記官によると今回は司法修習生が見学するらしい。
司法修習生とは最難関の司法試験に合格後、弁護士や検事、裁判官の資格を得るために研修中の人達だ。

先生の話では、最近は司法修習生の中で労働裁判を勉強したい人が増えているとのこと。
過払い金請求バブルが終焉を迎えつつあり、電〇などの事件もあったりで、これから増えてくるであろう労働事件に注目が集まっていて、争点が明確で書証も多い俺達の裁判は、司法修習生の教材にぴったりのようだ。


裁判官のあとに続いて10人弱の司法修習生が入室してくる。さながら白い巨塔の教授回診みたいだ。

裁判官「今日は司法修習生が見学しますが、気にしないで下さい」

いつもどおり提出書類の確認が淡々と進む。

裁判官「この裁判に向けて書類を読み返していたら提出されている準備書面がいくつか陳述になっていないものがありました、本日陳述したことにさせていただいていいですか?」

毎回読み合わせてるのに何故^^;

結構こういう事務的なミスが起きるので、当ブログ読者の中で裁判をしている方は期日毎に調書を閲覧謄写することをオススメしておきます。

ワンオペ

f:id:moto_shachiku:20210307103001p:plain


この期日ではワンオペが主なテーマになりました。

ワンオペについてもう一度おさらい。

労働基準法第34条第3項は休憩時間について、休憩時間自由利用の原則を定めており、裁判例及び通達も、休憩時間について、自由利用の原則を述べ、労働からの解放を保障している。
原告は、モデルハウスにおいて、一人で業務をおこなうことがあり(以下「ワンオペ」という。)、ワンオペの日においては、来場者(顧客、業者の営業者、宅配業者、保守維持管理のための業者及び総合展示場関係者等)や電話への対応を義務付けられており、外出等も許されず、休憩時間を自由に利用することができなかった。

この実労働はしていないものの対応するための待機時間を「手待ち時間」といい、労働から完全に解放されている訳ではないので労働時間として賃金が発生するという裁判例が多数存在します。


ワンオペで休憩が取れなかったのでその時間は業務時間として残業代を払うように主張していますが、ワンオペの日の特定を後回しにしていたためまだ請求額に含んでいませんでした。

そろそろワンオペの日と金額を特定した上で請求に乗せなければいけないと裁判官から指摘されました。

判決に向かう場合に元本が分からないと判決書けないですからね^^;



裁判官:実際にモデルハウスで休憩がとれないいわゆるワンオペになる頻度はどれくらいあるんですか?

俺:月に2回ぐらいですね。4人グループでそれぞれが隔週週休2日隔週週休1日で交代してシフトを火曜日水曜日を埋めていたので隔週で1人出勤の日があるということになります。

裁判官:被告もそういうことでいいですか?

被告代理人:平日はお客さんはほとんど来ないのでどこかの時間で休憩はとれますけどねぇ。トイレにも自由にいけます。

裁判官:被告としては休憩は取れるという主張でしょうから、それはそれとして事実として1人待機になる日は実際にあるんですよね。

被告代理人:それはありますよ...。

裁判官:ワンオペですよね。

被告代理人:それをワンオペというのならワンオペということにはなりますがねぇ、はい。


裁判官:このワンオペの日の残業代は訴状の請求額にはまだ含まれてないということですが、どうしたら乗せられますか。


俺:日報等からワンオペの日を特定できなくはないんですが、それぞれの社員のタイムカードを突き合わせて整合をとったほうがより確実で間違いないと思っていましたので。被告には以前からワンオペの日を特定できる資料を求釈明してますけど、全然出してもらえないので。


裁判官:被告代理人そこは出してもらえませんか?


被告代理人:会社に確認して出すようにします。
ワンオペについてはこちらとしても主張をもう少し詰めたいところもあります。


裁判官:次回期日ももう少しワンオペについて話しましょう。



ということで期日終了。


月2時間、2年間で48時間そこら。正直たいした金額ではなくて多分10万も増えない。
このことで裁判が長引いてだらだら時間を浪費するならワンオペの主張請求自体捨てようかなとも思えた。
しかし、無茶苦茶な労働体系を強いられてきたこと、杜撰な労務管理はやはり咎めておきたい。
そこに答えを出さないと後悔するかもしれない。
時間はかかってもやらなくてはいけないのだ。

つづく。

次の話を読む