後藤部長尋問
被告代理人:こちら陳述書ということで、後藤さんの書面捺印してありますが、中身ご覧になって捺印いただいたということでよろしいですか。
後藤部長:はい。
被告代理人:被告会社においてどのようなポジションであられますか。
後藤部長:営業設計部部長です。
被告代理人:だいたいでいいですが、そのポジションでもう何年ぐらいですか。
後藤部長:もう20年以上やってます。
被告代理人:設計営業部の皆さんの仕事について聞くんですけども、基本的に仕事の内容は営業社員が決めるのか、後藤さんが上司であるから後藤さんがあれをやりなさいと決めるのかどちらですか。
後藤部長:本人が決めます。
被告代理人:例えば今日この日という内容、営業社員が自分て決めていくということですか。
後藤部長:そうです。
被告代理人:例えば外へ出る場合も、どこへ行くのかも営業社員が自分で決めるのですか。
後藤部長:そうです。
被告代理人:会社に出社する時間は定刻があるのか、営業社員が自分で決めているのか。そこはどうですか。
後藤部長:基本的には出社は9時というのはあります。
被告代理人:それ以前に出てくる必要性はあるのでしょうか。
後藤部長:それも本人次第です。
被告代理人:基本的に営業社員が出なければいけない会議とかはあるのでしょうか。
後藤部長:ございます。
被告代理人:例えば?
後藤部長:週1回営業会議とかがあります。
被告代理人:会議は基本的に出なければいけないということですが、例えば他に用があれば会議に出ないことも営業社員が決めますか。
後藤部長:はい。
被告代理人:会社でいう退社、いわゆる仕事を終える時間は誰が決めているのでしょうか。
後藤部長:本人です。
被告代理人:そうすると朝何時に出てくるか、仕事を何時に終えるかは、全て本人が決めるというシステムですか。
後藤部長:はい。
被告代理人:会社にはタイムカードはありますか。
後藤部長:ございます。
被告代理人:タイムカードというのはタイムカードを入れると時刻が打ち込まれるわけですが、その時刻と実際に仕事を始めた終わったという時刻は一致しますか?
後藤部長:一致しないと思います。
被告代理人:それは何故でしょう。
後藤部長:業務を終えたあと何をするというのは管理をしていませんし、いつ帰るかも本人次第ですので。
被告代理人:この会社には業務日報があるのですね。
後藤部長:はい。
被告代理人:業務日報というのはどういう目的で作成されているのでしょうか。
後藤部長:基本的には本人の記録ですね。
被告代理人:基本的に業務日報は誰が作成しますか。
後藤部長:本人です。
被告代理人:営業社員本人が作成する?
後藤部長:本人です。
被告代理人:日報ですから、当日なにをしたかということを一つは書くわけですね。
後藤部長:はい。
被告代理人:書いたものは、後藤さんにそれは提出されるわけですか。
後藤部長:はい。
被告代理人:どういう形で提出されますか。
後藤部長:メールで送信してもらいます。
被告代理人:その日報を出すというタイミングは、どういうタイミングで出すことになっているとか何かルールがあるのでしょうか。
後藤部長:基本的には当然業務が終わったら書いて提出するっていう感じです。
被告代理人:メールで後藤さんのところへくるわけですが、その後に後藤さんの側でやることはあるんですか?
後藤部長:はい、確認して社内(の共有メール)と社長のメール、そういったところに配信します。
被告代理人:日報の中に後藤さん達のコメント欄がありますよね。
後藤部長:はい。
被告代理人:このコメント欄はどういう趣旨で設けられているんですか。
後藤部長:先輩からのアドバイス程度の感じです。
被告代理人:例えば、今日誰それさんの件でこういう図面を書きましたとか、訪問したけどこうでしたとかあって、それについてここはこうしろとか、明日はこういうふうに動けとか、そういう具体的な指示はコメント出されるんですか。
後藤部長:出しません。
被告代理人:そうするとコメントというのは、後藤さんが見て、ちょっと気をつけたらとか頑張ってるねとかそういう励ましだったり助言だったりそういう意味を持っているんですね。
後藤部長:はい。
被告代理人:土曜、日曜、祝日は営業社員さんは基本的には仕事のある業務日ですね。
後藤部長:はい。
被告代理人:主にどこで仕事されるんですかね。
後藤部長:決めるのは本人です。
被告代理人:会社の場合、展示場があるわけですが展示場に行くかどうかも営業社員がそれぞれ自分が決めるということですかね。
後藤部長:はい、そうです。
後藤部長:そうです。
被告代理人:展示場にも事務スペースがありますよね、バックヤード的に。
後藤部長:はい。
被告代理人:そういうところを営業社員さんが使うんでしょうけど、そこでなにをやるんでしょうかね。
後藤部長:主にはプランを考えたり、CADで絵を描いたりとかいうことだろうと思います。
被告代理人:それは、営業社員さんが自分の持ってるお客さんの中でそこでそうした具体的な業務をするということですか。
後藤部長:はい。
被告代理人:特に会社として、後藤さんとして、展示場にいてこういう作業をしろみたいに営業社員さんに対して具体的な指示をすることはあるんですか。
後藤部長:特に具体的にこれこれこうしろと言うことはありません。基本的には本人が決めます。
被告代理人:現在展示場は2か所あると思うんですが、展示場に常に上司みたいな人がいて、営業社員全体を管理しているような方見えるんでしょうか。
後藤部長:基本的にはそう決めた人間はいないです。
被告代理人:後藤さんは展示場にはどんな時に行かれるんですか。
後藤部長:それも自分で決めて、営業の業務の都合で行きます。
被告代理人:その営業の業務というのは、ご自身のお客の関係で行くということですか。
後藤部長:はい。
被告代理人:例えば、展示場へ後藤さんが行って、そこにいる営業社員さんが何をしているか、そういうとこをチェックしに行くというか、そういうことはあるんですか。
後藤部長:ございません。
被告代理人:そうすると例えば、展示場で仕事を終わって、その日の業務が終わるような場合は終了時刻はどうやって確認したりするんですか。
後藤部長:それは、本人の、そこからメールを送ってこればそのメールになります。業務日報になります。申告という。
被告代理人:先ほど、タイムカードの時刻自体は実際の労働とは一致してないというお話があったんですが、そうすると会社としてはタイムカードというのはどういう意味を持つんですか。
後藤部長:会社としては本当に出勤した日を見る程度だと思います。
被告代理人:例えば、展示場に行って出社したとか退社したという場合にはタイムカードはない訳ですが会社にあるタイムカードにはその部分は記載されたりするんですか。
後藤部長:されません。
被告代理人:手書きで書くとかそういうこともないんですか。
後藤部長:いえ、月末等に手書きで本人の申告になってます。
被告代理人:そうすると当月の休みとかをチェックするために、この日は出たかどうかはタイムカードに書いてもらっていると。こういうことですか。
後藤部長:はい。
被告代理人:営業社員の方はそれぞれ顧客を個々に抱える形でしょうかね。仕事の仕方。
後藤部長:はい。
被告代理人:そうすると、そのお客様の情報というか、例えば会社なんかだと顧客カードとかそういうものがあるんじゃないかと思うんですが、そういうものはあるんですか。
後藤部長:はい、基本的には顧客カードというものがございます。
被告代理人:それは日常的には誰が管理してるんですか。
後藤部長:各本人です。
被告代理人:営業社員が自分のお客のものは自分で持ってるということですね。
今回はここまで。まだまだ後藤部長への主尋問が続いていきます。
さすがに長いので3~5話に分けて書いていきます。
印象としては部長はかなり資料を読み込み準備してきた感がありました。予想どおりですが、序盤から本人という言葉をこれでもかと連呼してきたのが印象的です。
終始ムッとした表情と口調を崩しません。それが緊張感からなのか、刑事事件で罰金を受けたからなのか、こんなところに呼び出され見せ物のように尋問を受けているからなのか、通常仕事している時間なので仕事の時間を潰されたからなのか、はたまたカルシウムが不足しているのかは窺い知ることはできませんが、ずっとイライラしていました。
次回からイメージしながら読んでいただくとリアリティがよりわくかもしれせん。
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