反対尋問が終わり、裁判官の尋問タイムとなります。
裁判官がこの事件について何を重要視しているか、何に興味を持っているか、何の主張立証が足りていないかを知る数少ない機会です。
裁判官:裁判所からいくつか質問させていただきます。住宅展示場にはどのくらいの頻度で証人は行かれていたのでしょうか。
後藤部長:頻度というと?
裁判官:1ヶ月にどれくらいとか、一週間にどれくらいとか。
後藤部長:一週間5日出社したとするなら、3日以上は行ったかとは思います。顔出したりとか。
裁判官:滞在時間はどのぐらいですか。
後藤部長:行けば図面を書いたりでずっといることもありますし、外へ出るまでって感覚でおりますので、私の用事によってまちまちです。
裁判官:今日証言されるにあたって、刑事事件で供述された内容は改めて確認はされましたか。
後藤部長:改めて?
裁判官:読み直されたかってことなんですけども。
後藤部長:正直、そんなしっかりと読み直してはいませんけども。
裁判官:ニュアンスが若干というお話をされてましたけども、事実関係については特に違うという部分はありますか。
後藤部長:サインしている書類ですから、思いとしては私の言葉で語ったつもりですけど、最後に読み合わせしてサインしてますので、それは事実だと思うんですけど、今読み返せばという正直な気持ちはあります。
裁判官:原告が5人おりますけども、それぞれで働き方の違いというのはありますか。
後藤部長:前職の経験も違いますし、考え方も違うと思いますのであったと思います。
このあとも2、3質問が続きますが、他の原告の個人的な内容に触れますので割愛します。
裁判官からの質問が終わり、被告代理人の補足尋問に移ります。基本的には証人が反対尋問や裁判官からの質問に対してまずいこと言ってしまったのを修正したりごまかしたりする最後の機会です。
被告代理人:先ほどの回答の中で、営業の人が会社戻ってから日報を後藤さんにメールで送ってからも、目の前だから仕事していることは自分も知っていたというお話がありましたよね。
後藤部長:はい。
被告代理人:日報を出して、普通はそこで仕事は終わるように思うんですが、その後例えば図面を書いたり、1時間も2時間も仕事するような状態であれば日報の終業予定時刻をもっと後ろに書けばいいわけで、退社ってメールしてその後1時間も2時間も仕事するっていうのは日報からするとおかしい感じするんですけども。
後藤部長:はい。
被告代理人:そんなこと現実にあったんですか。
後藤部長:いや、そんなことはないと思います。
被告代理人:だからメールで日報を出したってことはそこで終わったよって後藤さんは受けとったんじゃないですか。
後藤部長:もちろんそうです。
被告代理人:営業社員さんが全員帰るまで後藤さんは残っている感じだったんですか。
後藤部長:いえ、先に帰ることももちろんありました。別にずっと最後までいなきゃいけないこともありませんので。
被告代理人:営業社員が一人もいなくなってから、消灯して帰るとかそんなことは全く無いんですよね。
後藤部長:そんな決まりは一切ありません。
被告代理人:後藤さんは自分の仕事が終われば帰ると。
後藤部長:(うなずく)
被告代理人:メールなんかは後で確認出来るんですか、翌日でも確認できればいいわけですかね。
後藤部長:当然お客様あっての仕事ですので、お客様の関係で遅くなれば、日報はべつに次の日でもいいっていう話はしてました。
まだ2、3質問が続きますが、原告の個人的な事情に触れる質問があるので割愛します。
これで後藤部長の証人尋問編終了です。
最後はなりふり構わずのごりごりの誘導尋問で無理くり発言内容を修正してきましたね。
次回からはいよいよ俺の出番です。
また長くなると思いますが、頑張って書いていくのでお付き合いください。