【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第100話 磯野の尋問


本ブログをご愛読の皆様、はじめまして磯野(仮名)です。以下の内容は限りなく事実を基にしたフィクションであり、実在する個人や団体に一切関係はありません。

では、早速本題に移ります。

 

証人尋問の日の朝はとても眠かった。というのも、僕は前日の夜遅くまで、発売されたばかりのゲームをやり込んでいたからだ。弁護士の先生に頂いた要約書をさらっと読み返し、尋問のイメージを数回繰り返した後はひたすらゲームに打ち込んでいた。なぜ新作というものはこうも胸が躍るのであろう…オープンワールドまだ見ぬ世界が無限に広が…このお話は長くなるので、裁判所に着いた所から書きます。

 

 裁判所内の待ち合わせ場所に向かうと、本ブログ管理人さん(以下俺さん)が悩ましげな顔で書類を開いている。


僕「おはようございまーす」


俺さん「おはようございます」


僕「なになに、もしかして緊張してる?」


俺さん「受答えは大体頭に入れたつもりだけど、やっぱりなんか不安だなー」


僕「大丈夫大丈夫、僕らは事実だけを話せばいい訳だし、何もやましいことはないんだから」


俺さん「まぁそうなんだけどね」


他愛のない会話をして、他のメンバーと先生に合流する。

ここが尋問をする法廷かー、意外に小さいんだな)

なぜか原告側の傍聴席に被告数人が座っている。頭の中に?が浮かぶが、気にせず被告側の傍聴席に着座した。


被告社長「やっぱり磯野君は元気だなー!ほっほっ!」


誰に話しかけているのかよくわからない。誰も反応せず、法廷内に虚しく響いた。


尋問の流れの説明を書記官から受ける。

 

そして午後、僕の番が来た。

最初は俺さんと似たようなことを質問され、着々と答えていく。お昼に食べたから〇げくんのほのかな香りがする。そう言えば昼食後、歯を磨いていない。


宣誓をし、原告代理人の主尋問からスタート。全部書くと長くなるので、かいつまんで書きます。


原告代理人「被告社長の陳述書には磯野さんは前職同じような建築の業界にいて、営業マン達が時間関係なく夜遅くまで働いていて、契約がとれたら歩合が支給されるところ、磯野さん自身も建築営業はそのようなものと分かっていたはずだという風に記載されています。これについて磯野さん、面接時に歩合制だという説明は受けましたか」


僕「いいえ」


原告代理人「被告会社は固定給ですよね」


僕「はい」


原告代理人「後藤部長から、日報書いたんだから早く帰れってことを言われたことはあるんですか」


僕「特に無いです」


原告代理人「時間を潰してタイムカードを押す時間を遅らせたことはないですね」


僕「ないです」



続いて、反対尋問。



僕「社長のみです」


被告代理人「残業代が支払われないという説明をうけましたか」


僕「いいえ」


被告代理人「あなたは前職、同じような業界の会社で働いていましたね。営業職ですか。技術職ですか」


僕「技術職です」


被告代理人「同じ業界で働いていたという事は、残業代が支払われないことが通常であるという認識をお持ちでしたよね」

 

何を言っているのだろう、業界内では残業代が支払われないのが、社会の常識だとでもいうのだろうか。

 

僕「持っていません」


被告代理人「あなたは、業務が終わったあとに、社長にプライベートなことを相談する事はありましたか」


僕「ないです」

 

絶対にない。なぜこんな質問をしてくるのだろう。

 

被告代理人「あなたは親族の事故について、社長に相談されたことはないですか」


僕「…??」

 

そうか、そういう作戦か。僕の過去のプライベートな不幸を持ち出して、心を揺さぶる。なんて悪質だ…笑

 

僕「ないです」


被告代理人「業務中、それが原因で業務を抜けたことはなかったですか」

 

まだ続けるのか…まあいいだろう。

 

僕「あります。その日は早退しました。それ以外の日で業務中に抜けたことはないです」

 

当り前だろう。報告してから早退しているのだから。残業代と何の関係があるのだ…

 

被告代理人「残業代というのは、先ほど俺さんも話していた通り、労基署が入ってから初めて気づいたということでいいですか」


僕「はい」


被告代理人「そうすると、それまでは、働いていても残業代を請求する考えはなかったという事ですよね、そもそも、会社的には残業代という概念が無い訳ですけれども」

 

宇宙に存在する会社なのだろうか。概念がない。つまり、思想も神話も同類だ。

 

請求する意思が無かったわけではないです。僕たちの残業代はどうなっているのだろうと考えていた段階という事です」

 

被告代理人「それを何らかの形で会社に伝えていたこともないですよね」

 

ここで僕は、今日の晩御飯はカレーライスにしようと決めた。わざわざ有給を取って尋問に来たわけだが、尋問後、時間に余裕がありそうなので、仕込をする時間がありそうだ。

 

僕「先ほど俺さんも話していましたが、みなしや裁量などの言葉がちらほら聞こえていたので、そういうものなのかな。という程度の認識しかなかったという事です」

 

実際には職務中も、残業代は発生していると分かっていたのだが。

 

被告代理人「年2回、社長と面談する機会があったと思いますが、その時にも残業代の事は相談しなかったですか」


僕「残業代に切り込んだ話をすると解雇などの報復を受けるかもしれないという怖い思いがありましたので、自分からそういうことを伝える考えしはないですね」

 

実際に解雇されている。この発言の説得力は無限大だ。しめしめ。

 

その後、数回の尋問を受け、裁判官の尋問に入る。

 

裁判官「部長が展示場に顔を出す頻度ですが、週に2、3と答えていましたが、どうでしたか」


僕「土日祝は8時45分に出社して、ミーティングを行います。これは強制であり、全員出席が決められていました。もちろん、部長も参加します。そして、部長指導の下行われます。つまり、土日祝プラス外出の予定の無い平日を合わせると、週4~5は展示場に来ていたことになります」


裁判官「ほうほう、つまり、週に2,3より多いという印象ですか」


僕「そうなります」

 

裁判官がかなり前のめりで話を聞いている。これはしてやったりだ。被告答弁の信憑性を下げる事に役立つ。

 

裁判官「展示場に来ると、どれくらいまでいますか」


僕「18時が閉場なので、予定が無ければその時間までいます」


裁判官「部長もですか」


僕「そうです」


裁判官「先ほど、外回りにおいての移動時間が長すぎるというお話がありましたが、どのように考えていますか」


僕「渋滞などもありますので、時間がかかることもありました」


裁判官「いえ、そういう事では無くて、どこかでサボっていたりしたことはあったのかという質問です」

 

分かっている。サボっているという考えが無いゆえに、早合点して答えないようにしていた。

 

僕「ないです。効率的に業務を進めて、早く帰りたいという考えが大きかったです」

 

この言葉に嘘はない。賃金の発生しない業務、つまりサービス残業を延々と続けられる程、堕落した考えは持ち合わせていない。

 

この後、被告代理人から数点、追加の尋問があった気がするが、良く覚えていないので省略する。

 

こうして、特に緊張する事も無く、僕の尋問は終了した。僕は喋り過ぎる悪い癖があるので、冷静に簡潔に答えるようにしたつもりだが、振り返ってみると少し喋り過ぎた気もする。後で俺さんに聞いたら、悪くなかったよ。と言っていたので、悪くなかったことにしておこう。

 

本ブログをお読みの皆様は、俺さんと僕の人間関係がいろいろと崩れていないかと、心配になっている方もいるみたいなので、ここで少しお話しましょう。

結論から言うと、人間関係は全く崩れていません。全て終わったら一緒に旅行にでも行くつもりです。笑

 

現時点で裁判がどこまで進んでいるかは言えませんが、各々が理想の形で終われるよう、お互いに協力できれば最高だと考えています。

 

証人尋問 磯野編はここまでにします。

それでは、また。

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