先回からのつづき。
先生からのメールを解説します。
その前に前提として、
残業には、「時間外労働」と「法内残業」があります。
「時間外労働」は、労働基準法で定められた労働時間(原則は1日8時間、1週40時間)を超えて行われた残業のことをいいます。
「法内残業」は、会社が定めた所定労働時間を超え、労働基準法で定められた労働時間以内の範囲で行われた残業のことになります。
法内残業の場合は1時間当りの賃金額×法内残業時間を請求できる。
営業社員は、隔週で単休(火か水)と連休(火水)をとっていた。法定休日は被告が水曜日と主張し、こちらも反論しなかったので水曜日ということになっている。なので水曜日の出勤に関してはまるまる休日労働で計算し請求している。
単休の週の火曜に出勤していた場合に、今まで通常出勤として計算していたが、一週に休みが1日だけだと、週40時間を超えてしまうので
火曜は実は所定休日として扱うべきじゃないか。所定休日はこれまでの弁論でも就業規則でも明らかにはされていないが、火曜の他に休みとされてる日もなく、当番で出勤していたのだから会社の労働日じゃない日に労働していた扱いで良いんじゃないかと。
だから基礎時給×8時間×2年分の火曜出勤分請求しましょうという話になるわけです。うん十万単位で請求額が増える。
そんなうまい話あるものか。
法内残業については最初の内容証明送った時点では請求してないし、これまでの裁判中も主張してない。時間外労働を争ってきたわけだ。
すでに裁判始まりかなりの時間が経過している。被告は時効を主張してくるんじゃないか。
争点をあえて増やしてこれ以上裁判の進行を遅らせたくない気持ちもある。
先生に話すと、「あ、たしかに、、、可能性はありますね。しかし、これまで時間外労働しか請求してなくても未払いの賃金を争っているという考え方も出来ます。法定休日も不明でしたし、当初被告は1年単位の変形労働時間制を採用していると主張してましたが、変形労働時間制は無効を認めて引っ込めました。こういった条件が揃ってはじめて請求権を得たとも言えます。あと仮に時効だとしても被告が援用しないと効果を生じないので請求する価値はありますよ。」
なるほど、たしかに。
そうして請求を拡張する訴えの変更申立書を提出した。
その直後、思いもよらない急展開が起きる。
次回に続く。