働きながら会社と労働条件について交渉する。
労働組合があればまだしも、中小のワンマン企業であればこれは現実的には結構難しいことだ。
「未払いの残業代を請求する。」
当たり前のことを言うが、これは本来貰うべきものだったのが未払いだったので払って下さいと言っているだけだ。
しかし、何故か請求することと辞めることとがセットになってしまうのが現実なのである。
たいていの場合、立場を悪くするためおくびにも出せないのだ。
働いている会社を辞めるというのはこの日本社会においてそんなに簡単なことではない。
お金の計算も含めたいろいろと準備が必要である。在籍期間が短かったり、転職を何度も繰り返せば根気の無い人と敬遠され次の職はなかなか決まらないかもしれない。
気に入らないなら他に行けばいい、ブラック企業だと気付いたら早く脱出すべきというのは理想論であり、分かってはいるが事はそう単純でないことが多いのではないだろうか。
就職先を探し入社することを決断するのと同様に、辞めるにもまた辞めるためのスケジューリングやプランニングが必要になるはずだ。
話を戻そう。
払われてこなかった残業代について、在職しながら会社と交渉する。以前にも書いたかもしれないが、やはりこれにはきっかけと大義名分が必要になる。
もともと文句を言ってすぐ辞められるような人であれば、そもそも1ヵ月か2ヵ月の時点で話になっている。
しかし、ずっと何も意義を唱えなかったから未払い残業代が何年分も貯まっているわけで、それを突然急に請求するというのは奇襲のようでなんとなくうしろめたくなってしまう。
何度も繰り返しになってしまうが、本来貰うべきものだったのが未払いだったので払って下さいというのは当然のことであり、そんなことまで思い巡らせるのは杞憂であるが、単純ではないのだ。
回答書において、みなし労働でも裁量労働でも無かった、過去にそう説明していたなら間違いだったと会社が言ってきた。
これまで社員もそういう説明を受けてきてそう思っていたが、その前提が崩れたということになる。
そして今回、固定残業制度を新しい概念として取り入れようとしている。
で、あるならば、
今までは残業代が付かないような特別な雇用体型が無く、通常の雇用形態だったということであり、発生してないと思っていた残業代が実は発生していたということになるので請求するに至ったという論拠。大義名分ができたのだ。
もちろん本当はそんな流れを汲むことは無駄だ。払われていないので請求します。で良いのだ。
しかし現実は実質立場の弱い労働者側が使用者側とガチ交渉をするには無用であろうが全てのスジを通すことでやっと土俵に上がれるのだ。
実を言えば、きっかけとなった労働基準監督署が入ったのも偶然では無い。(今はまだ詳細は言えない)
そして会社からの回答も意図して引き出したものだ。
闘う下地は作り上げた。さあ進もう。
次回、弁護士事務所に相談にいく。