磯野の和解
部屋に戻ると社長が疲れた様子で座っていた。
裁判官から相当厳しいことを言われたのか、自分の立たされている状況、分の悪さをようやく理解したのか。
うなだれている?諦め?
いや、投げやりというのが表現としては一番しっくりくる。そんな様子だ。
裁判官:磯野さんについては被告が条件を飲むということです。社会保険料等の計算があるため本日の和解は難しいとのことですので1週間後を目処に期日を入れましょうか。
原告代理人:本日から和解期日までの日割賃金は入れていただけるのでしょうか。
裁判官:被告いかがですか。和解成立のため、ここは譲歩いただきたいと思いますが。
被告代理人:いや、それは、また計算が難しくなるのでねぇ。
社長:まぁ仕方ない!仕方ない、それで和解するっていうならなんとかするしかないがな。
被告代理人:では本日から和解日までの日割を含めて支払うということで結構です。
裁判官:俺さんについても、被告側は磯野さんの条件でなら是非ともとのことですが…。
俺:全く考えられないですね。
裁判官:念のため磯野さんの和解期日で俺さんの期日も合わせて入れておきますので、そこで最終結論ということにさせて下さい。出席が難しければ代理人通じてで結構ですので。
俺:結論は変わりませんが、それでいいです。
裁判官:では、和解期日を1週間後、弁論準備期日を1ヵ月後目処で調整しましょう。
期日決めの話し合いが少し続き、終了。
この1週間後、解雇について磯野が被告と和解となった。
つづく