前回のつづき
被告準備書面
被告準備書面⑴
訴状と原告準備書面に対して答弁する。
第1
1 「解雇までの経緯について」
(1)
ア 被告が原告に対して定額残業制を入れた新たき雇用契約書を提示し署名押印を求めたことは認めるが、署名押印しないと雇用継続しないと窺わせる発言をしたとの点は否認する。
イ 平成28年10月7日に原告が退職願を提出したことは認めるが、退職願の趣旨については争う。
ウ 同年同月8日に原告に対し同9日付で解雇予告手当を支払い解雇する通知をしたことは認める。解雇理由は解雇理由証明書のとおり。
(2)
ア 被告の解雇には正当な理由がある。
イ 営業設計部の仕事が高所得者層向け注文住宅の設計及び販売であったことは否認し、半期に1件も受注出来ないことは珍しくなかったとの点も否認する。
ウ 原告は前々期は1棟、前期は3棟の受注があったが、平成27年11月に受注して以来受注していない。これらの受注もすべて後藤部長らのフォローがあってのこと。原告が部下の受注を助けたとの点は新入りの部下に原告が同行したことがあるとの限度で認める。
エ 原告が部下の育成をしていたとの点は否認する。部下の育成は原告の業務では無い。新入社員のフォローを原告の判断で行ったことはある。
オ 展示場での集客イベント考案、運営業務を担当していたことは否認する。原告が自らの営業活動の一環としてスポットで行ったことはある。
カ 不動産部長が退職したことは認めるが、その業務を原告に一部任せたことは無い。
キ その余は争う。
第2 原告準備書面⑴について
1 「退職願の撤回」について
⑴原告は被告の解雇を争うが、原告の退職願に対して、被告が解雇の意思表示をして、退職願の目的である雇用契約終了の効力は発生しており退職願撤回の余地は無い。
⑵被告による予告手当を支払った解雇は原告の退職願が目的とする雇用契約の終了と合致しており、被告として退職願に呼応するものであるから、原告が退職願を撤回する余地がない。
2 「退職願による退職意思表示の錯誤無効について」
⑴原告が引用する判例は被用者にはそもそも退職意思が無かった事案であり、本件とは全く事案を異にする。
⑵原告が誤信して退職願を書いたとの点は強く否認する。
⑶原告の退職願が被告に提出される以前において、被告が原告に対して退職勧奨をしたことはなく、退職願を書かなければ解雇すると伝えたこともない。原告の主張は事実に反する。
⑷原告らが被告に求めた質問書にあるように、原告は被告会社における処遇に大きな不満を持っており、その結果として自主的に退職願を提出したものである。
3 「主張を補充するに至った経緯」について
被告は甲23号証により原告に譲歩をしたものであり、原告は退職願を出しているのだから被告はバックペイを支払う義務は無い。
以上です。
ツッコミどころは満載なのだが、パッと読んでいちばん気になったのは、全く意味合いが違うはずの合意退職と退職願→解雇の効果を同一視しているところだ。
面倒くさいが、一つ一つ反論し、主張と書証を積み上げるしか無い。こちらにはまだ出していない隠し玉がいくつもあるのだ(·∀·)ニヤ
つづく