【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第86話 結集

証人(本人)尋問の2週間前。


朝から夜まで丸1日、弁護士事務所で打ち合わせ。

裁判が始まってからはじめて原告5人全員が一堂に会したのだった。

5人揃って、
残業戦隊セイキュウジャー集結
ださ...。


前にやめていた2人は緊張したおももちだったので、久しぶりだね、今何してるのぐらいの挨拶を交わすぐらいで特段多くを語り合うことはなかった。

証人(本人)尋問は、
書証で明らかになっている部分以外の不確かな部分や書証ではまだ不十分なことを証言によって補完するものだ。

こちらは書証が腐る程ありほぼ明らかにしちゃっているので、通過儀礼というか茶番みたいなもの。
被告側はここを頑張らないとなんともならないので躍起になってやってくるだろう。


証人(本人)尋問には主尋問反対尋問がある。

主尋問
主尋問とは、当事者が証人を交互に尋問する場合において、その証人尋問を請求した当事者が最初に行う尋問を意味する。有利になるような証言を引き出す。

反対尋問
証人の尋問を請求した当事者による主尋問のあとに、相手方当事者が行う尋問。不利になるような証言や主尋問での証言の信憑性を失わせるような証言を引き出す。



主尋問については先生がすでにある程度考えてくれていた。こういう質問をしますということで、1問1問どう答えるか擦り合わせした。
擦り合わせといっても別に嘘をつく相談ではない。語ることが真実か嘘かなんて、歴戦の裁判官にはお見通しなのだ。
もう時間が流れてしまって忘れていることを思い出したり、こう答えた方が伝わりやすいとか適切な表現だとかそういうことを1問1問やっていった。

特に何年の何月にこれがあったとかは結構間違えやすい。間違える度にもうそんなに経っているのかと思った。

お昼を挟み、ひと通り答えを作ったところで、実際にシミュレーション。
先生が質問をし、そして俺が答える。シミュレーションだが結構緊張するし、ひりつく。さっきまで和気あいあいと打ち合わせしてたのに。

やってみて感じたのは、人間とは素直なもので緊張が増した時、少しでも確信できないことや曖昧な記憶はなかなか言い切ることができない。
~と思う、~と認識している、~だと感じた。と言ってしまいがちだ。多少あいまいなことなら言い切ってしまった方が真実味が増すし自信があるように感じられるよな。気をつけよう。

反対尋問に関しては、相手が何を質問してくるかは相手のみぞ知ることで予測でしか対策できない。それほどないが聞かれたら困ること嫌なことを磯野が考えてくれて少しばかり練習した。

あっという間に夜になり、
あとは、当日になってみなきゃ分からない!
想定外のことは、アドリブで乗り切ろう!

あ、そういえば、、、

松田さんが切り出した。


かばんの中にこんなものがありました。


俺はびっくりした。


そ、それは!!めっちゃ探してたリーフレットじゃないですか!!


俺たちは顧客訪問のついでに、営業用のリーフレットを毎週50枚近隣に配るよう義務付けられていた。
これは訪問という事業者場外でも仕事量が多く使用者の目の届かないところで、休憩したりサボったりできなかったことの裏付けとなる重要な事実だ。
しかし肝心要のリーフレットを会社を辞める際に全部捨ててしまい、探しても探しても見つからなかった。
今になって重要な証拠がまたひとつ。

すぐに証拠提出するよう先生にお願いした。

こうして尋問を前に必殺となる武器を手にしたのだった。




決戦の日は近い。
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