残業代くださいって言ったら不当解雇されたから裁判することにした【未払い残業代請求裁判ブログ】

未払い残業代請求と解雇無効確認の裁判をした元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第115話 弁済の充当

とりあえず、弁済供託無効の主張を裁判所に提出した。


上申書


第1 和解提案として

原告は、被告上申書記載の金額での和解を受け入れるつもりはありません。原告としては、判決を求めます。

 

第2 弁済の申し入れとして

被告は、上申書記載の金額を弁済供託する可能性がありますが、仮に、被告が弁済供託しても弁済としては無効であると考えられます。

参考資料として、交通事故の損害賠償請求における弁済供託の事件を添付いたします。


(中略)


従前の判例では、原則として、債務の全額であることを要し、全額でない場合には当該一部についても弁済の提供及び供託の効果は生じないが、提供及び供託を無効とすることがかえって信義則に反する場合には、有効な提供及び供託となるとされています。


本件では、まだ第一審判決が出ておらず、被告が上申書に記載する金額は、客観性が担保されておらず、単に被告が主張する金額に過ぎませんまた、タイムカードの出勤打刻と退勤打刻から算出した労働時間(ワンオペ日以外の日は原則休憩1時間を控除する)に、基礎賃金と割増率を乗じることにより未払い賃金額の算出が容易であり、判決確定前でも同未払い賃金全額を弁済供託することは、被告にとって「難きを強いる」ことにはなりません。

さらに、原告主張の金額や認容される可能性の高い金額と比較して、被告提示の金額は大幅に低いです。

これらの点からして、仮に、被告が、上申書記載の金額を弁済供託したとしても、弁済としては無効であると考えられます。

 以上




そして次の期日が開かれた。

簡潔に要点だけ纏めると以下のとおり。


原告代理人被告からの提示額は低すぎる。判決を求める。


裁判官:和解は難しいでしょうね。しかし判決になると、半年ぐらい先になると思う。


原告代理人確かに、時間はかかるかもしれないが、それはかかりすぎではないか。


裁判官:5人分の証拠の精査、労働時間の精査にはどうしてもかかる。


被告代理人弁済供託を考えている。金額について、基礎時給の点をもう少し正確に計算した上で、その額を供託する予定。


原告代理人最高裁判例からすると、本件では、タイムカードの打刻による労働時間の推認が覆っていないので、全額払うことは被告に難きを強いることにはならないし、被告の申し出ている金額は余りに低額である。そのため、弁済供託しても無効であると考えられる。


裁判官:そうはいっても、実務において、残業代の一部だけ支払われていることはよくあり、それにもかかわらず、無効だとすることには疑問がある。


裁判官:訴えの変更に対する答弁(法内残業についての認否)を被告にはしてほしい。


被告代理人法内残業の主張について、あまり理解出来ていないので、後日原告代理人に事務所にきていただくなどして解説してほしい。



法内残業の認否、答弁が遅いなと思っていたら、理解出来ていなかったのね。

確信に変わった。被告代理人は労働事件はあまり得意ではない、というかおそらくほぼ経験ないんだろうな。



予想どおり弁済無効の主張には、裁判官は疑問を呈してきた。無理筋なところで意固地になり争点化させるのは得策ではない気がする。


弁済を受け入れる方向で一度考えてみる。一つ気になっていたことがある。弁済された場合の充当の順番だ。


未払い残業代には、元本とは別に遅延損害金がかってくる。

不払いのときから年利6%の遅延損害金を請求することができる。さらに会社を退職した以降は、賃金の支払の確保等に関する法律第6条により年利14.6%の遅延損害金を請求できる。

この時もう裁判が始まって2年ぐらい経ち、退職してから約2年半が経過していた。

遅延損害金も実は結構な金額(遅延損害金だけで100万は優に越える額)になっていた。



もし一部弁済された場合だが、


弁済の充当の方法は民法491条に定められている。

  1. 当事者間の合意による弁済の充当
  2. 指定充当
  3. 法定充当

ただし、債務者が元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済の充当について当事者間に合意がないときには、常に費用、利息、元本の順に充当しなければならない。


当然、合意などするはずなく充当の指定も異議するのことになるため法定充当となる。


前置きが長くなってしまったが、 

つまり元本より先に遅延損害金に充当される(※)ため、被告が支払う予定の金額では元本がそれほど減らないのではないだろうか。

きちんと計算していないが、大きく減ることはないに違いない。


訴訟費用(弁護士報酬ではなく印紙代郵券代等、出廷費用や交通費)はここでいう費用であるとされているため、訴訟費用に一番先に充当されるはずであるが、負担の割合は判決で決まるので現時点では充当出来ない。



先生から裁判官に今回の場合の充当の方法について、それとなく確認をとってもらうこととした。



次回へつづく。




今回は少し長くなってしまいました。だんだんと内容も複雑で専門的に、、、。ついてこれてますでしょうか^^;

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