ユニオンの人と合流し、弁護士事務所へ。
個室に案内され、弁護士さんが来るのを待っている間に、同僚の佐藤をユニオンに紹介。
俺:メールでお伝えをしたとおりですが、来月で会社を辞めるので未払残業代を請求したいということだったので、ユニオンに加入いただくこと前提でならと連れてきました。
ユニオン:はい、構いませんよ。こちら当ユニオンのリーフレットと加入届と、郵送用の封筒です。
佐藤:あの、これって絶対入らないとだめなんでしょうか?
俺:!?(え、こいつ何を言いだすの、、、)
佐藤:次の就職先でも、組合があると聞いてますので、二重に組合に入ることなるのですが。
ユニオン:労働組合への加入は自由ですので、強制するものではありません。重複して加入すること自体は認められていますので、そこは問題ないですよ。 次の会社の組合もまだどんなところか分からないでしょうし、一旦加入しといてみてはいかがですか。
佐藤:必要なさそうであれば、すぐ辞めてもいいですか?組合費も二重にかかりますし。
俺:(さすがに、それを言葉にするのは失礼だろ。。。)
ユニオン:脱退も加入も自由です。
佐藤:ユニオンに加入しないと弁護士さんに依頼できませんか。
ユニオン:ユニオンを通じて依頼してもいいですし、ユニオンを介さずに個人的に弁護士事務所と契約することもできます。 加入の件は今決めなくて大丈夫ですので、お渡ししておきますので検討してください。
俺:なんか、すいません。。。
ユニオン:いえいえ。
そんなやりとりがあった後に弁護士の先生が入ってこられ、ご挨拶。
会社のことについて確認があった後、手当の不利益変更のことや育児休業後の取扱や配転のこと、途中の残業代のこと、これまでの経過を軽く説明。 持参した、当初の労働契約書や条件通知書、労働協約や就業規則、制度変更の申入書や、配転不同意の通知書などの各種規定や証拠物を先生に確認いただいた。
一通り先生が確認したところで、またあの男が言い放つ。
佐藤:先生、勝てますか?
俺:(うわぁ、なんだそのバカ丸出しの質問は。恥ずかしすぎる。安易にこんなヤツ連れてくるんじゃなかった。)
よほどの悪質な不当解雇でもない限り、こんな相談者目線の話と断片的な資料だけしかなく、相手がどのような反論や証拠を出してくるかも分からない中で、「これなら勝てますね」とか言う弁護士がいるはずがない。
大体、相談者の勝ちのラインがどこに設定されているかにもよるわけで。
法律問題なんて、まして労働審判や訴訟になれば、100%原告の請求が通るなんてまずないので、そういう意味では、大半が引き分けだ。
引き分けの内容が、当事者にとって良い引き分けか、悪い引き分けかになるが、こっちが実質良い引き分けだったと思っているものも、相手もしめしめこの程度でおさめられたぞという事もある。
だからこの段階でのこの質問は意味がないのだ。
弁護士:給料の20%の手当はインパクト大きいので、それが廃止されるというのは不利益変更に当たると判断される可能性は高いと思いますし、固定残業というには苦しいと思いますので、争ってみる価値はあると思いますね。 相手の主張がはっきりとは分からないので、引き出してみたいですね。団体交渉をされてみて、それから労働審判や訴訟を検討してみてはいかがでしょうか。
俺:そうですね、私も一度、団体交渉をしてみるのがいいかなと思ってました。タイミングは私からお伝えしますので、ユニオンさんから団体交渉の申し入れしていただいてもよろしいでしょうか。
ユニオン:佐藤さんはどうされますか。組合員でないと団体交渉には入れませんが。
弁護士:一人が主張してきているだけではなくて、他にも請求する従業員が出てきた、他にも出てくるかもしれないというのは、会社へのプレッシャーになりますから、一緒にやられるのは効果あると思いますね。
佐藤:うーん、僕は、直接依頼して早期に労働審判したいなと思ってます。
俺:(そうしろ、そうしろ)
ユニオン:お任せしますので、考えてみてください。
つづく。