【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第47話 権威と力技 ひとりぼっちユニオン編

外勤手当の定義

この団体交渉におけるこちら側の最大のテーマは、これまで濁されてきた「外勤手当」の位置付けだった。

そもそも、会社にとってこの手当の定義は何なのか。はっきりさせたい。

会社代理人弁護士は答える。

-要約-

当社は、外勤に従事する従業員に対して基本給の20%の外勤手当を支払っていますが、所定労働時間でみなす事業場外みなし労働時間制をとっています。 19時からの労働については別途残業手当を支払う規定になっています。 では、定時17時30分から19時までの残業代はどうなるのか、19時以降は別途残業手当を支払うとしてるのだから逆に言えば、外勤手当というのは正に定額残業代ということになります。

固定残業代と事業場外みなしは両立するか

すかさず、ツッコミを入れる。

事業場外みなし労働時間制というのは、労働時間の算定が困難な場合に、所定労働時間働いたことにしましょうという制度なので、残業が発生するという概念がないと思いますが、定額残業代と事業場外みなし労働時間制が両立すると先生はお考えなんでしょうか。

全く矛盾しません。私が知っている限りでも、そういう会社たくさんあります。※

この規定だけで、事業場外みなしと定額残業代制度を採用していると読み解けというのは無理があると思いますけど。

見解の相違です。

(※たしかに、東京地裁令和4年3月30日判決セントリオンヘルスケアジャパン事件で、MRの従業員に対して、この会社は事業場外みなし労働時間制をとりながら、固定残業代40時間分を支払っているので、理解をしないてやっている会社はあるのだと思われる。 東京高裁令和4年11月22日判決では、この運用により、労働者による残業申請、上長の確認承認及び残業にかかる具体的指示、労働者の事後の報告が発生しており、労働時間を管理していることになるため、事業場外みなし労働時間制の適用を否定された。)

権威と力技

言い回しの妙で嘘は言っていない。(有効無効かは置いておいて)そういう制度運用の会社を知っている。

俺は上記の裁判例をこの交渉以前から知っていたが、それをこの場で口頭で切り出しても分が悪そうなのでやめた。

弁護士が言い切ると、それが正しいかのような空気に染まってくる。 そして、その主張は無理があることを伝え空気を入れ替えにいくのであるが、この弁護士は、この団体交渉の中で「見解の相違」という言葉を何度も何度も繰り返し使い跳ね除けた。

団体交渉というものは、そもそも見解が相違することを確認したり調整する目的で行うものだ。 それを見解の相違です。とバッサバッサと斬り捨てるのであれば、どちらの見解が正しいのかもう裁判しち判断してもらうしかないということになる。 こういう代理人弁護士の態度は、団体交渉の中においては不誠実だと思う。

訴訟に至るまでは、弁護士というのは素人相手に結構こういう権威と強引な力技で押し通してしまうということをやっているのでかなと思う。

だから、この交渉の終盤にはもう訴訟する覚悟と決意が固まった。

ぜひ、裁判所でもその主張を維持してもらおう。

つづく

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