団交後すぐに、今後は元社畜本人で対応し、団体交渉は継続しない旨、ユニオンから会社代理人に対し連絡を入れてもらった。
そして、この時点で提訴するXデーを決めておいた。
2か月後の給料支払日の前日に提訴する。
請求により、時効の完成が猶予されているが、この給与支払日から、再度時効が進行し、3年前に発生した古い未払い賃金が消滅してしまうからだ。
頑張ればそんなギリギリではなくて、もっと早く出すことも出来るのだが。 ひとつ予感というか、懸念していることがあったためギリギリまで引っ張ることにした。俺のこういう先読みは大体当たる。
そして、俺は早速訴状の作成にとりかかったのだった。
未払い残業代を請求する際には訴状別紙として、基礎(時給)単価計算書、残業代計算書をつけるのが一般的だ。このあたりは以前の裁判の経験が活きてくる。
訴状自体の内容を書くよりもまず先にこの計算書を作成しないことには、残業代の時給、請求する未払い残業代のおよそ正確な金額、利息額も分からないのである。
某弁護士法人が無料で公開する「給与第一」というExcelソフトを参考にした。 ※弁護士業界では同じ弁護士法人が作った「きょうとソフト」というExcelを使用することがスタンダードだと思うが、一般人向けに公開されているのは「給与第一」だ。
給与第一も本当によくできた計算シートなのだが、困ったことが起きた。
19時以降の残業は既支払い済みで、定時後17時30分から19時の間の途中の残業代を請求するということ、またそのうち最初の15分は法内残業で割増がないという若干複雑な事情が絡み合っているため、いろいろうまくいかなかった。
そのためレイアウトだけ参考にして、自分で一からExcelの計算シートを作ることにした。 もちろん仕事が終わってからなので、毎日夜中、時には朝方まで試行錯誤したり、地道に入力したりして満足いくものが完成した。ちゃんと支払日からの利息も自動で計算される。
急遽作ったから、名付けて「急遽第一」かな。
ようやく訴状本文を書き始めた。
そんな矢先、俺は役員から応接室に呼ばれた。 夏も近づくこの時期だ。それが何の用事かは察しがついた。 そして、それが喜ばしくない内容であることもね。
つづく。