【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第56話 労働協約の効力発生の要件と無いことの証明 ひとりぼっちユニオン編

労働協約の効力発生要件

新しい制度の合意はあるけど、労働協約が作られていない。

それにより何が起こるか。

法令、判例に照らして考えてみる。

労働組合法14条 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによつてその効力を生ずる。

それでも会社からの押印のある書面での申し入れがあって、それを了承する組合の押印書面があれば、協約と同一視されちゃうのでは?

そこは最高裁判例が明確にしている。

都南自動車教習所事件 最高裁平成13年3月13日第三小法廷判決

労働組合法14条が、労働協約は書面により作成し、両当事者が署名し又は記名押印することによってその効力を生ずることとしているゆえんは、労働協約に労働契約の内容を規律するという法的効力を付与することとしている以上その存在及び内容は明確なものでなければならないからである。

労働協約の履行をめぐる不必要な紛争を防止するために、団体交渉が最終的に妥結し労働協約として結実したものであることをその存在形式自体において明示する必要がある。 書面により作成され、かつ、両当事者がこれに署名し又は記名押印しない限り、仮に労働組合と使用者との間に労働条件その他に関する合意が成立したとしても、これに労働協約としての規範的効力を付与することはできないと解すべきである。

会社と組合とは、いずれの合意についても、協定書を作成しなかったというのであるから、労働協約の効力の発生要件を満たしていないことは明らかであり、労働協約が成立し規範的効力を具備しているということができないことは論をまたない。

よって、労働協約は、書面化されていない合意や、申込承諾だけでは効力が発生しない。

無いことの証明

書記長によれば、前の労働協約は解約されていないということだった。
(もっとも合意解約するにも、上の判例法理で言えば解約書面を双方記名押印で作成する必要があるので、それなら新しい協約も作成するだろう。)

前規定の労働協約は有効期限が到来していない(有効期限の定めはないか、有効期限の定めが無い労働協約は3年と解される)ので、これがまだ生きているということになるだろう。

労働協約>就業規則なので、 会社には、前規定の内容で外勤手当を支払う義務があるから差額未払いになる!

理屈の上では成り立っているが、書記長との会話の録音だけでは弱い。

就業規則と違い、労働協約には法的に明確な周知義務はないし、例えば労働協約を確認させろと会社や組合に言ってみたところで、すでに脱退していて無関係なので拒否されるのがオチだろう。

あるいは、準備書面で主張してみたところで、会社、代理人弁護士がこの法理に気づいてしまえば、組合の書記長は新しい労働協約の作成について知らないだけで、実は最初から労働協約がありました。と言って、さらっと、しれっと出してくる可能性が高い。

そもそも合意しているものを、書面化しないで留保しているというだけなので、新制度にすることについて会社と組合に争いはないわけで、(すでにもう現実にはその制度になっているし) 、日付を遡り作成しましょうと4月1日付けで作ってしまうことは容易なのだ。

そうなれば全てが台無しで、せっかく作ったこの世界線は無駄になる。   協約がこの期間無かったことを完全に証明することは難しい。。。

あー、どうすればいいんだ!




💡

閃いめいた。


完全に、うまくいくか分からないけどもうこの手に賭けるしかない。


つづく。

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