【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第36話 勤怠記録の保存義務と開示義務 ひとりぼっちユニオン編

勤怠記録の保存義務

締日変更によるアップデートという建前により閲覧出来なくされてしまった過去分の勤怠記録を入手しなければならない。

もしも、会社側が抵抗してきた場合に備え、請求する前に少し勉強をしておく必要がある。

そもそも勤怠記録の保管義務や開示義務は法的な建て付けはどのようになっているのだろうか。

まずは保管義務から。

労働基準法第109条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない。 (ただし経過措置として同条中5年間とあるのを当分の間3年間とする。第143条)

タイムカード等の勤怠記録は賃金その他労働関係に関する重要な書類に含まれるため、保存していないとうそぶいてきても、法違反であることは主張できそう。(罰金30万円以下の罰金)

そうしても消えてしまったとか言って出してこないなら、賃金台帳を請求するのも一考かもしれない。始業と終業は分からないかもしれないけれど労働時間数や時間外勤務時間数は記載事項になっているから証明になる。賃金台帳は、国税通則法上でも保管(7年間)が定められているので、無いというのは通らない。

勤怠記録の開示義務

調べて見ると、実は、勤怠記録の開示義務について定めた法律は無いことが分かった。

明文化されている規定は無いものの、タイムカードの開示義務を認めるとともに、慰謝料請求も認容した裁判例は存在している。

医療法人大生会事件(大阪地判平 22・7・15 労判 1014 号 35 頁) 労基法上,使用者が労働時 間の把握をすべきものとされ,使用者に賃金その他労働関係 に関する重要な書類についての保存義務を課しているのは, 労働者保護の観点から,労働時間についての規制を実効あら しめるとともに,仮に労働時間について契約当事者間で紛議 が生じた場合には,これを使用者が作成し,保管している労 働関係に関する書類によって明らかにし,労働者と使用者と の間の労働条件や割増賃金等に関する紛争の発生を未然に防 止し又は生じた紛争を速やかに解決することを図ったものと 解するのが相当である。
(中略)
使用者は,労基法の規制を受ける労働契約 の付随義務として,信義則上,労働者にタイムカード等の打 刻を適正に行わせる義務を負っているだけでなく,労働者か らタイムカード等の開示を求められた場合には,その開示要 求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り, 保存しているタイムカード等を開示すべき義務を負うものと解すべきである。

道化

実際には、まだ明確に紛争になっていない現段階において裁判例なんかを持ち出して交渉するのは、時期尚早だし、無用に警戒されてしまうことになってしまうので良い事は無い。 これらの法的なバックボーンを頭に入れた上で、なるべく警戒されないようにうまく引き出していきたいところだ。

まず肝要なのは、人選だ。

当たり前だが、人事部長クラスは危険だ。 請求に使われることが必ずチラつくし、警戒され、警戒された場合には、その門は強固な鍵をかけられてしまうに違いない。
ならば、下っ端がいいかというと、そうではない。そもそもどこからそれを持ってこればいいか分かっていない可能性があるし、知っていても権限かない可能性が結構ある。そして下っ端はいちいち必ず上に相談報告する。
ここで狙うは、ズバリ課長クラスだ。 ある程度の権限があり、実務を大体掌握していて、ある程度のことの判断は任されていると考えている場合が多い。そこを突く。

どう言うか。

あまり何も触れないで、最初は馬鹿のフリをして、ただただ過去分の勤怠が見られなくなったことに今さら気がつき見られるようにならないかを確認してきた人になってみる。

人事課長の川島さん狙いを定めてEメール送信!

はたして、、、

つづく。

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