【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第11話 元気手当ください ひとりぼっちユニオン編

若者がやめる理由

理不尽に元気を搾取される日々は淡々と流れ、間もなく梅雨がやってくる。

そんな折、人事部と支店長と役員から呼び出された。

最近我が支店の若い従業員の退職が続いていて今さらながら危機感を持っているようで、心当たりがあるか、原因は何だと思うか、若者と年長者の橋渡しとなる中間層に意見を聞きたいという。

俺:若者が辞める理由ですか。
労働契約以上のものを求めちゃうからじゃないですかね。

人事部長:どういうこと?

元気手当

俺:例えば、支店長は毎日のように「今、元気には価値がある!お客様は元気な人から買いたい!元気があれば売れるんだ!」と仰っておりますね。
そこで人事部長にお聞きしますが、当社の求人には、条件として「元気な人」と書いていますか?

人事部長:書いていませんね。(苦笑)

俺:上司が交代して、ある支店だけ突然元気を出すことを強制するのなら、その支店には『元気手当』をつけてくれないと不公平ですし割に合いませんよね。

人事部長:元気手当??

俺:支店長が元気には価値があると仰るんですから当然でしょう。価値ないんですか? それとも社内では元気は無償で流通して、社外に出たら有償なんでしょうか。
もっとも元気というのが社会人の必須スキルであるならば、それはそれで全社あげて指導しないと問題ですね。
一方で、外勤手当を廃止するという不利益変更をしようとしている。元気もでませんよね。
元気手当は半分冗談ですが、こういう現実と心のギャップがね、若者が離れていく要因の一つかなと思います。

意識改革

俺:今や転職なんて普通のことですし、若ければ売手市場で選び放題なわけですよ。そんな中でこの会社にいつまでも残る理由なんてあると思いますか?

人事部長:子会社とはいえグループのブランドがあってステータスでもあるわけで、出世を目指して頑張れば同世代の仲間と比べても遜色無い給料にもなると思うし、都心で働けているそういうやりがいみたいなのはあると思うんだけど、どうだろう?

俺:ぶっちゃけて言えば、今の若者はプライベートの方が大事なので、早く帰ってゆっくりYouTube見たりSNSやりたいんですよ。
そりゃ面接では、数年後にはリーダーになりたいとか、やりがいとか語って向上心あるように見せますよ。
入社したら、仕事で自己実現しようとか、出世しようなんてほとんど考えてませんよ。責任は背負いたくないし、いい車にも乗りたくないし、マイホームもいりません。
時代は変わってるのに、採用する人と上司の頭の中だけ変わってないんですよ。

人事部長:忌憚ない意見ありがとうございます...。

やばい、ちょっと言いすぎたかな。

俺:別に僕の考えがそうってわけじゃないですよ。今の若者がそうなんじゃないかなってだけで。

急先鋒

俺:だからこそ、今回の制度変更はよくないんですよ。同じ給料を維持しようと思ったらこれまでの外勤手当と同額分の残業が必須になる。 所定労働時間内で、最大限のパフォーマンスで頑張って効率よく仕事して、早く帰ってプライベートを充実させようとする人にとっては、これはもう最悪です。

人事部長:君が反対派の急先鋒であることは実はよく知っています。 そして、いろいろな意見があることもね。

なんだ、知っていたのか。


つづく。

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