【パタハラ裁判やってます】〜本人訴訟、しあわせのチカラに〜

全方位型労働被害者、元社畜による実話を元にした実話です。ブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブル

第12話 小さな声 ひとりぼっちユニオン編

心当たり

人事部長:君が反対派の急先鋒であることは実はよく知っています。

なんだ、知っていたのか。

組合の執行委員長が交渉の過程で、名前を出した可能性は否定できないが、わざわざ固有名詞を出すだろうか。

心当たりが一つあった。

そうか、アレか。
アレを人事部は見られるのか。
見てんだな。

実はこの間に組合や会社が穏やかだったとはいえ、俺としても何も動いていなかったわけではない。

やはり一人だけの声では、頭がおかしい奴がイチャモンつけてる感が否めないので、組合に対する牽制として会社で使用しているコミュニケーションツールで、全組合員(課長職以上や人事部は含まない)400人余りを招待したチャットルームを作り、そこで今回の制度変更に対する問題提起と呼びかけを投稿していた。

もしかするとやるかもしれないとは思っていたが、これはどうやら本当に検閲されていると、この時の人事部長の言葉から瞬間的に悟ったのだった。

呼びかけ

制度変更案の問題点を書き、その下に以下の文章を添えた。

組合執行部には現在の交渉状況や見通しについて全く回答がない状態です。

「今、私の小さな声はかき消されようとしています。力を貸していただけないでしょうか。小さな声を集めて大きな声にしてこの状況を打破し労働条件・労働環境を自らの力で守りませんか」

反対の声を届けましょう。

私に賛同してくれる方は、この投稿にいいね👍を押してください。

反応

少なからず反応はあった。

約400人に呼びかけた中、その約1割の👍がついた。

400人の半分にあたる内勤者は今回の制度変更で直接的には影響がないため、外勤者の約2割が反応してくれたことになる。

中には応援や、何か手伝えないかというメールをくれる人もいたし、廊下にいる時に直接話しかけてきてくれた人もいた。

理不尽さや憤りを感じている人はいる。

それはここまで大きな流れに対して、一人で抗っていた俺にとっては心強く感じたのだった。

一時休戦

人事部長:そして、いろいろな意見があることもね。
だから、この件については、会社として無理に急いで強引に推し進めようとかは考えていません。
今は保留になっていますが、ただずっとそのままというわけにももちろんいかない。
やはり組合がある以上、個々の従業員と交渉することでもないので、組合と納得できるかたちで進めていきたい。

憶測の域をでないが、俺の呼びかけにより、この時は小さな声の結晶は密かに本当に届いていたのかもしれない。
反対している従業員が一定数いることも分かり、無視しては反発や不審を招きかねないため、無理に進めることをやめたのではないだろうか。

真相は分からないが、他のグループ会社ではすでに着々と制度変更が起きていた中で、足並み揃わずのこの一時休戦は親会社やホールディングスにとってもそこそこ大事のはずだ。

会社としては組合に対して半ば強引に合意させることも可能だったと思うが、首の皮一枚、踏みとどまれたことはそういうことなんじゃないかと思えるのだ。

俺:組合執行部自体もあまり、制度変更の内容についてきちんと理解していると思えないし、ここの従業員についてはなおさらちんぷんかんぷんだと思うので、会社として説明会等開いて内容を説明すべきではないでしょうか。

人事部長:組合の回答前に説明会をするつもりはない。従業員向けにやるとしても決まったあと。制度内容については組合に申し入れ書で伝えた通りだし、内容を理解して組合員に伝えるのは組合側でやることだと考えている。

俺:組合としても当然やるべきですが、受け入れる法的義務のない、しかも不利益変更になる従業員もいる申し入れをしているわけですから、まずは会社が説明会等して周知すべきだと思いますけどね。

人事部長:まあ、先程も言ったとおり、すぐにどうこうしようってことでも、強引にまとめようってこともないから。 せっかくこの件にこれほど関心を示していただいていることだし、何か決める前に君とはまた話をしようと思うよ。
というわけだから、今日はこの辺で。
意見を聞かせてくれてありがとうございました。

しばらくは何もなさそうだし、知らないうちに決められることは、とりあえずはなさそうだ。

つづく。

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