社畜よ、武器を持て【未払い残業代請求裁判ブログ】

未払い残業代請求と解雇無効確認の裁判中の元社畜によるリアルタイム奮闘記! 今まさにブラック企業で働いている方、これからブラック企業と闘わんとしているあなたへのバイブルにも!

番外編 無職の歩き方(仮)

本日2回目の記事更新です。



今月で失業手当の仮払い支給が無くなりました。財産を売却したり預金もあるので余裕がありますが、何もしなければ今後はただただお金が減っていくだけになります ノ)゚Д゚(ヽ



前々回の記事に対して、「収入が無くなるのでなかなか会社を辞めたり訴訟等をするのは難しい」という旨のコメントがありました。




俺みたいに残業代請求したら




なんてアホなことする会社はそうは無いと信じたいと思いますが。




読者の方の中にはブラック企業を訴えた後の生活に対して興味があるのかなと思いました。


そこで、番外編として、働けない間をいかに過ごすかをテーマにブログ記事を連載していこうかなって思っています。



すでに少しでもお金を得るために「せどり」と「懸賞」「公募」をはじめました。

株式投資なんかも検討しています。


他には解雇が無効になって復職後合意退職したあとの就活を有利にするために資格試験の勉強もしています。すでに受験したものもあります。

資格の話や勉強法なんかも少し書いていこうかなと考えています。



俺自身はわりと今の無職の状況をポジティブに捉えています。

以前にも書きましたが1度社会人になったら、殆どの人が定年まで忙しく働きながら、長い休みなんてたまにしかなく長くて1週間程度のものですよね?

なかなかこんなに長く堂々と休める機会なんてそうはありません。



無職の武器はなんといっても時間。

この時間という武器を使って何ができるか。

乞うご期待!



この番外編の正式なタイトルを考えていないのですが、何かかっこいいタイトルを思いついた方はコメント欄までお願いしますm( )m





これまでの経緯43 否認らっしゅ 被告準備書面⑴

前回のつづき


第1回期日から2週間ほど経った2月中旬、被告から準備書面が来た。要旨は以下のとおり。



被告準備書面⑴


訴状と原告準備書面に対して答弁する。
第1
1  「解雇までの経緯について」
(1)
ア 被告が原告に対して定額残業制を入れた新たき雇用契約書を提示し署名押印を求めたことは認めるが、署名押印しないと雇用継続しないと窺わせる発言をしたとの点は否認する。

イ 平成28年10月7日に原告が退職願を提出したことは認めるが、退職願の趣旨については争う。

ウ  同年同月8日に原告に対し同9日付で解雇予告手当を支払い解雇する通知をしたことは認める。解雇理由は解雇理由証明書のとおり。

(2)
ア  被告の解雇には正当な理由がある。

イ  営業設計部の仕事が高所得者層向け注文住宅の設計及び販売であったことは否認し、半期に1件も受注出来ないことは珍しくなかったとの点も否認する。

ウ  原告は前々期は1棟、前期は3棟の受注があったが、平成27年11月に受注して以来受注していない。これらの受注もすべて後藤部長らのフォローがあってのこと。原告が部下の受注を助けたとの点は新入りの部下に原告が同行したことがあるとの限度で認める。

エ  原告が部下の育成をしていたとの点は否認する。部下の育成は原告の業務では無い。新入社員のフォローを原告の判断で行ったことはある。

オ  展示場での集客イベント考案、運営業務を担当していたことは否認する。原告が自らの営業活動の一環としてスポットで行ったことはある。

カ  不動産部長が退職したことは認めるが、その業務を原告に一部任せたことは無い。

キ その余は争う。


第2  原告準備書面⑴について
1  「退職願の撤回」について
⑴原告は被告の解雇を争うが、原告の退職願に対して、被告が解雇の意思表示をして、退職願の目的である雇用契約終了の効力は発生しており退職願撤回の余地は無い。

⑵被告による予告手当を支払った解雇は原告の退職願が目的とする雇用契約の終了と合致しており、被告として退職願に呼応するものであるから、原告が退職願を撤回する余地がない。

2 「退職願による退職意思表示の錯誤無効について」
⑴原告が引用する判例は被用者にはそもそも退職意思が無かった事案であり、本件とは全く事案を異にする。

⑵原告が誤信して退職願を書いたとの点は強く否認する。

⑶原告の退職願が被告に提出される以前において、被告が原告に対して退職勧奨をしたことはなく、退職願を書かなければ解雇すると伝えたこともない。原告の主張は事実に反する。

⑷原告らが被告に求めた質問書にあるように、原告は被告会社における処遇に大きな不満を持っており、その結果として自主的に退職願を提出したものである。

3 「主張を補充するに至った経緯」について
被告は甲23号証により原告に譲歩をしたものであり、原告は退職願を出しているのだから被告はバックペイを支払う義務は無い。


以上です。


ツッコミどころは満載なのだが、パッと読んでいちばん気になったのは、全く意味合いが違うはずの合意退職と退職願→解雇の効果を同一視しているところだ。

面倒くさいが、一つ一つ反論し、主張と書証を積み上げるしか無い。こちらにはまだ出していない隠し玉がいくつもあるのだ(·∀·)ニヤ


つづく

準備書面⑴で出した証拠書面

準備書面⑴(これまでの経緯40)で出した証拠書面


標     目

 

(原本・写しの別)

作 成

 

年月日

 

作 成 者

 

立 証 趣 旨

 

備考

 

20

 

大阪地方裁判所平成9年8月29日判決

 

写し

 

H9.8.29

被用者が任免権者に対して退職願を提出後、任免権者による承諾の意思表示が被用者に到達する前に、被用者が退職願を撤回した事案において、本裁判例が、被用者が提出した退職願について、任免権者による承諾の意思表示が被用者に到達する前であれば、被用者は当該退職の意思表示を有効に撤回することができると判示したこと。

 

 

 甲21

 

横浜地方裁判所川崎支部平成16年5月28日判決

 

写し

 

H16.5.28

被用者が、解雇事由が存在しないにもかかわらず、上司からの退職勧奨等を受けて、自己都合退職をしなければ使用者から解雇されるものと誤信し、退職合意の意思表示をした事案において、本裁判例が、被用者は退職願を提出しなければ解雇処分にされると誤信して、退職合意承諾の意思表示をしたと認められるから、退職合意承諾の意思表示にはその動機に錯誤があること、また、上司は、被用者としては、解約の申入れを承諾するか解雇処分を受けるかのいずれかの方法を採らざるを得ないことになることを当然に認識していたものというべきであるから、被用者がした退職合意承諾の意思表示の動機は黙示のうちに表示されいたこと、さらに、被用者としては解雇事由が存在しないことを知っていれば、退職合意の意思表示をしなかったであろうと認められることから、退職合意承諾の意思表示には法律行為の要素に錯誤があり無効である旨を判示したこと。

 

 


訴状と出した証拠書面

訴状と同時に提出した書証。



 

号 証

標     目

 

(原本・写しの別)

作 成

 

年月日

 

作 成 者

 

立 証 趣 旨

 

備考

 

1

 

履歴事項全部証明書

 

原本

 

H28.8.

 

〇〇法務局登記官

 

被告の登記事項について

 

 

甲2の1

 

 

通帳

 

写し

 

H25.10.H27.7.

 

〇〇銀行

 

平成26年10月分から同年12月分平成27年4月分原告の賃金の額、内訳等

 

 

甲2の2ないし22

 

給与明細書

 

写し

 

H27.1~H28.10

 

被告

 

平成27年1月分から同年3月分、同年5月分から平成28年10月分の原告の賃金の額、内訳等。

 

 

甲3

 

写し

 

H28.7頃

 

被告

 

被告が、原告に対し、給与構成を不利益変更する雇用契約書を交付してきたこと。

 

 

甲4

 

雇用契約書締結に関する要望兼質問書

 

写し

 

H28.8.

 

原告、別

松田、磯

 

原告が、雇用契約書(甲3)記載の不利益変更に応じることはできず、雇用契約書(甲3)記載の労働条件が従前の労働実態と整合しないため、雇用契約書(甲3)についての修正要望と質問をする書面を被告に交付したこと。

 

 

甲5

 

雇用契約書締結に関する質問書」に対する回答

 

写し

 

H28.8.

 

被告

 

被告が、給与構成の変更は、労基署の指導により、他社並みにとの指導からおこなったこと、殆どの住宅・不動産会社が営業社員へ残業代を手当しないが、今回の労基署の指導により固定残業代を設けるこなどを内容とする回答書面を原告らに交付したこと。

 

 

甲6

 

要望兼追加質問書

 

写し

 

H28.9.

 

原告、別訴原告松田、磯野ら

原告が、被告の回答(甲5)が不十分であり、納得できなかったため、追加の質問を記載した書面を被告に交付したこと。

 

 

 

7

 

写し

 

H21.10頃

 

被告

 

被告の所定労働時間等

 

 

甲8の1

 

営業設計部 業務標準書

 

写し

 

H26.9.

 

後藤部長

 

被告が、原告ら営業設計部員に求めた仕事内容等(平成26年9月版)

 

 

甲8の2

 

営業設計部 業務標準書

 

写し

 

H27.7.

 

後藤部長

 

被告が、原告ら営業設計部員に求めた仕事内容等(平成27年7月版)

 

 

甲8の3

 

営業設計部 業務標準書

 

写し

 

H28.3.

 

後藤部長

 

被告が、原告ら営業設計部員に求めた仕事内容等(平成28年3月版)

 

 

甲9

 

業務日報(原告保管のデータを印刷したもの)

 

写し

 

H26.9.21からH28.10.7まで

 

原告

 

原告の日々の仕事内容

原告が日々の仕事内容を被告に報告していたこと等

 

 

甲10の1ないし25

 

タイムカード

 

写し

 

 

H26.9.21からH28.10.8

 

 

原告、被告

 

原告の労働時間等

 

 

甲11

 

退職願

 

写し

 

H28.10.7

 

原告

 

原告が、被告に対し、退職年月日については「有給休暇、代休の消化後」、退職理由については「一身上の都合による。」という内容の退職願を提出したこと。

 

 

甲12

 

解雇予告通知書

 

原本

 

H28.10.8

 

 

被告

被告が、原告に対し、同月9日限りでの解雇を通知したこと。

 

 

甲13

 

解雇理由証明書

 

原本

 

H28.10.11

 

被告

 

被告が主張する解雇理由。

 

 

甲14の1

 

通知書

 

写し

 

H28.10.

 

原告訴訟代理人弁護士

 

原告が、原告訴訟代理人弁護士を介して、被告に対し、未払賃金等を請求したこと等。

 

 

甲14の2

 

郵便物等配達証明

 

原本

 

H28.10.

 

日本郵便株式会社

 

甲14の1の通知書が平成28年10月◼日に被告に到達したこと。

 

 

甲15

 

ご連絡

 

写し

 

H28.11.

 

原告訴訟代理人弁護士

 

原告が、原告訴訟代理人弁護士を介して、被告に対し、未払残業代の金額を示して改めて支払いを請求したこと。

原告が、原告訴訟代理人弁護士を介して、被告に対し、ワンオペの日の休憩時間をゼロとするからワンオペの日を開示するように求めたこと。

原告が、原告訴訟復代理人弁護士を介して、被告に対し、法定休日を明らかにするように求め、法定休日が明らかになった後、休日割増分も請求予定であると主張したこと。

 

 

甲16

 

受任通知

 

写し

 

H28.11.

 

被告代理人

 

被告代理人から、受任した旨と裁判での解決を考えている旨の通知が届いたこと。

 

 

甲17の1

 

メール

 

写し

 

H26.10.

 

後藤部長

 

後藤部長が甲8の1の業務標準書を原告ら営業設計部員に周知したこと。

 

 

甲17の2

 

メール

 

写し

 

H27.7.

 

後藤部長

 

後藤部長が甲8の2の業務標準書を原告ら営業設計部員に周知したこと。

 

 

甲17の3

 

メール

 

 

H28.3.

 

後藤部長

 

後藤部長が甲8の3の業務標準書を原告ら営業設計部員に周知したこと。

 

 

甲18

 

判決文(最高裁判所平成26年1月24日判決)

 

写し

 

H26.1.24

 

最高裁が事業場外みなし労働時間制について判示した内容

 

 

甲19

 

判決文(東京高等裁判所平成23年9月14日判決)

 

写し

 

H23.9.14

 

東京高等裁判所が事業場外みなし労働時間制について判示した内容。

 









これまでの経緯42 第1回期日(弁論準備手続き)

ついに第1回期日がやってきた。


弁護士を立てているものの出来る限り出席するつもりだ。

弁論準備手続きはよくテレビで観る法廷とは違い、こういう感じの部屋でやります。




傍聴では無く、参加できるのでもちろん発言も可能です。


やりとりは以下の通り。(記憶で書いていきます)



書記官と裁判官が入室して一礼。



裁判官:それでは始めます。今回から新たに御三方分訴状出てますね。それについて被告から答弁書が出ておりますが、それぞれ陳述でいいですね?


原告代理人:はい、陳述します。
被告代理人:陳述します。


裁判官:原告被告代理人も同じですし、新たに解雇もありますが、未払い残業代請求は5名同じで、解雇も未払いに絡んできますので、5名同一期日で審理していくことで考えていますがよろしいですね?


原告代理人:はい。
被告代理人:結構です。


裁判官:では、同一期日で進めるということで。続いて、提出書証の確認していきます。


確認作業が続きます。


裁判官:原告俺さんについて、甲21号証まで出てますが、甲1甲12甲13甲14の2が原本、あとは写しを原本に代えて提出ということでいいですね?  

原告代理人:はい

裁判官:被告代理人も確認よろしいですか。


被告代理人:はい。確認しました。



裁判官:では甲21号まで提出とします。
被告からは乙1号証、休日カレンダーのみ。写しを原本に代えて提出ということですが、原告代理人もいいですね。


原告代理人:はい。


裁判官:では証拠確認終わりました。代理人から何かありますか?


原告代理人:休日カレンダーなんですけど、法定休日と所定休日の区別がないので、法定休日と週の初めを明らかにしてほしいのですが。それによって計算若干変わってきますので。



裁判官:被告代理人出せますか?


被告代理人:会社に確認してみないと。


裁判官:おそらくきちんとそういう決まりないでしょ?ハッキリしないですが、そこは金額変わってきても少額だと思うので、慣例的に原告側も控えめな請求ということで一番少ないところで決めるというのも一つだと思いますがいかがでしょうか。


原告代理人:最終的にはそうしますが、出せるようなら出していただきたいです。


俺:これは以前からずっと求めていることですよね?


被告代理人:口頭で言われても忘れてしまうので、書面で求釈明出してください。


原告代理人:求釈明出します。


裁判官:では今後の進め方ですが、まず被告代理人に新しく訴状出された御三方について詳しい認否出していただくのと、先の2名に対しても何か次回までに出せそうですか?


被告代理人:御三方の認否は次回までに、まあほぼ前の2人と同じような内容になりますが。それ以上はちょっとなんとも。
労働実態については日報も精査が必要ですし。やり方もどういうやり方をすればいいか検討してますが。何せ5人になったので。とりあえず1名分だけ進めるとか。あとは大体同じ主張になってくると思いますので。


裁判官:1名分だけなら出せますか?


被告代理人:次回までに間に合うかは分かりませんが進めます。


俺:それも前回から同じじゃないですか。前の二人についてももう4ヵ月以上経ってるじゃないですか。それでまだやり方をどうすればいいかとかこれから日報精査するとかどうなんですあ。
私の事件でも2ヵ月前に訴状出してるのに、認否は追って出しって話ですし。結局次回出てくるとして、こちらの反論出せるのが次次回ですよね?もっと進行を早めていただくようにしていただかないと困るんですけど!解雇されてて仕事も出来ないわけですし!


(言ってやった)


裁判官:解雇の件は早めに解決すべきとは裁判所としても思いますが、残業代については特に事業場外みなし労働は大事な争点になりえますから。皆さん営業なんですよね?社会的な影響や今働いてる方への影響もあると思いますのでそこは慎重に考えないといけない、だから被告側にもしっかり時間を与えて主張を出していただきたい。


(諭されてたぁw営業だからみなし労働も当然という考えの裁判官なのか?)


俺:それは、理解していますよ。必要以上に時間をかけられるのは問題だということです。



被告代理人:まあ、訴状に対する認否は早めに出しますし、だんだん前の2名に追いつくようにしていきますから。



裁判官:では御三方の認否と、なるべく残業代について詳しい反論を1名分だけでも。次回期日ですが、3月の1週目あたりいかがですか?


被告代理人:ちょっとこの週はたて込んでますのでもう少しあとになりませんか?


(くっ、早くやるって言った舌の根も乾かないうちに…)


裁判官:では、3月〇日でどうでしょう?


被告代理人:はい。大丈夫です。
原告代理人:はい。




つづく


次回の題目は未定ですが証拠書類についてそろそろ紹介?説明しようと思っています。


これまでの経緯41 答弁書届く

少し更新が空いてしまいました。お待たせしました。

では、前回からの続き↓



1月末、被告代理人から訴状に対する答弁書が届いた。
内容は以下のとおり。




第1  請求の主旨に対する答弁

1、原告の主張は、棄却する。
2、訴訟費用は原告の負担とする
       との判決を求める。


第2  請求の原因に対する答弁
         追って答弁する。




は?

提訴が11月22日。
すでに2ヵ月以上経つのに、追って答弁するって( ゚д゚)ポカーン

戦術ですか?





2月1日の初回期日で抗議してやる(`・ω・´)
遅延行為はイエローカード違うの?




次回、第1回期日、吠える!



これまでの経緯40 容赦無き先制攻撃



民事裁判は序盤、中盤戦は書面のケンカだ。準備書面という原告、被告双方の主張を書いた書面を提出し合う。

テレビドラマのような尋問形式はクライマックスで、主張や書証が出尽くすまで、この地味なやりとりを繰り返すことになる。


最初の原告(訴えた側)の書面は訴状、最初の被告(訴えられ側)の書面は答弁書と言うが、その後は、原告準備書面、被告準備書面となる。


通常は交互に出し合うが、主張を足したい場合補足したい場合や追撃したい場合は、続けて出すことになります。


年明け、訴状を補充する準備書面が出来た。もう本格的な闘いは始まっている。容赦無き先制攻撃だ。


原告準備書面

 

平成29月◼


原告は、解雇無効確認等請求について、次のとおり、主張を補充する。

 

第1 退職願の撤回

訴状の第2、5、⑴に記載のとおり、原告は、平成28年10月7日、被告に対し、退職願を提出した(以下「本件退職願」という。)

これに対し、被告は、本件退職願に対する回答をすることなく、月8日、原告に対し、同月9日限りでの解雇を通知した。

被用者が任免権者に対して退職願を提出後、任免権者による承諾の意思表示が被用者に到達する前に、被用者が退職願を撤回した事案において、大阪地方裁判所平成9年8月29日判決は、被用者が提出した退職願について、被用者の任免権者による承諾の意思表示が被用者に到達する前であれば、被用者は当該退職の意思表示を有効に撤回することができる旨を判示した

本件においても、前記のとおり、原告は、原告が提出した本件退職願について、原告の任免権者である被告代表者から、承諾の意思表示を受けていない。

そこで、原告は、本件退職願を撤回する。


第2 退職願による退職の意思表示の錯誤無効

仮に、本件退職願の撤回ができないとしても、原告は、本件退職願による退職の意思表示について、錯誤無効を主張する。

被用者が、解雇事由が存在しないにもかかわらず、上司からの退職勧奨等を受けて、自己都合退職をしなければ使用者から解雇されるものと誤信し、退職合意の意思表示をした事案において、横浜地方裁判所川崎支部平成16年5月28日判決は、被用者は退職願を提出しなければ解雇処分にされると誤信して、退職合意承諾の意思表示をしたと認められるから退職合意承諾の意思表示にはその動機に錯誤があることまた、上司は、被用者としては、解約の申入れを承諾するか解雇処分を受けるかのいずれかの方法を採らざるを得ないことになることを当然に認識していたものというべきであるから、被用者がした退職合意承諾の意思表示の動機は黙示のうちに表示されいたこと、さらに被用者としては解雇事由が存在しないことを知っていれば、退職合意の意思表示をしなかったであろうと認められることから、退職合意承諾の意思表示には法律行為の要素に錯誤があり無効である旨を判示した。


本件においても、訴状の第2、5、⑴に記載のとおり、原告は、被告から残業代が一切支払われてこなかったことや、被告から、定額残業代制度を導入することを主眼とする新たな雇用契約書に署名押印することを求められた(日付を空欄とするように求められた)こと、さらに、署名押印しないと雇用を継続しないことをうかがわせる内容の発言を被告代表者からうけたこと等から、このままでは被告から解雇されると誤信した。そのため、原告は、解雇される前に退職したほうが良いのではないかと考え、有給休暇と代休の残日数を確認するとともに、退職日について相談するために、退職年月日については「有給休暇、代休の消化後」、退職理由については「一身上の都合による。」という内容の退職願を提出した。したがって、原告の本件退職願による退職の意思表示には動機の錯誤がある。また、被告代表者は、原告としては、前記退職勧奨により退職するか解雇処分を受けるかのいずれかの方法をらざるを得ないことになることを認識していたものというべきであるから、本件退職願による退職の意思表示の動機は黙示のうちに表示されていた。そして、原告は、被告が新たな雇用契約書に原告が署名押印しないと雇用を継続しないことをうかがわせる内容の発言を受け、解雇されると誤信しなければ、退職願を提出しなかったのであるから、退職願による退職の意思表示には法律行為の要素に錯誤があり無効である。


第3 主張の補充をするに至った経緯

原告は、解雇無効確認を理由とする地位確認等請求については、早期解決の必要性が高いため、本件訴訟提起後の平成28年12月6日、訴外で、被告に対し、平成28年11月20日付合意退職にすること、被告が同日までのバックペイを支払うこと、違法解雇されたことで消化できなかった有給休暇の対価の支払いを被告がすること等を内容とする和解提案をした。なお、同和解提案書面において、原告は、被告が同和解提案に応じない場合には、判決日までのバックペイの支払いを求めること、復職後に有給休暇を全て消化するつもりであることを申し添えた。


しかし、これに対し、被告は、平成28年12月13日、原告に対し、原告が消化できなかった有給休暇の対価については支払うが、同年10月8日付の解雇が有効であるから、退職日を10月8日とすること、バックペイは支払わないこと等を内容とする回答をした。


以上のとおり、地位確認等請求について、原告は、早期解決の必要性から、譲歩を示したにもかかわらず、被告は、解雇の有効性を改めて主張し、バックペイについては一切支払わないとも主張した。


原告としては、このような被告の態度に憤りと失望を感じ、また、和解が困難であると考え、判決日までのバックペイの支払いと復職を求め退職願を撤回する次第である。

以上


次回、答弁書届く